440:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2012/02/17(金) 17:30:38.96 ID:JYEl3aKe0
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怒鳴り声が聞こえた。
銃弾? 砲弾?
分からないが、飛び道具で射撃されたことだけは確かだった。奇跡的と言っては奇跡的に、その飛来した銃弾は、ゼマルディの剥がれかけていたウロコ――こめかみのひとつに突き刺さり、鉄のようなその表面を僅かに削っただけで脇にそれていた。
とは言っても、その突然の横槍が青年に与えた影響は大きかった。脳が潰されんばかりに頭蓋骨の内部でシェイクされ、さらに吹き飛んだ衝撃で体を地面に叩きつけられ、生身に戻った左腕……その二の腕が全く逆の方向に折れ曲がってしまった。
両腕を無効化された状況で、ゼマルディは懸命に視界を定めようとしていた。しかし世界中に泥沼がかかったように、目に映り、そして聞こえる全てが重かった。何か黒い、粘性の空気が体中を包んでいて状況を脳に送ることが出来ない。
加えて、視界がぐるぐると正真正銘回転していた。体中をブルブルと震わせながら、血まみれの体から徐々にウロコが剥がれ、皮が痛々しく剥けた人間の体が露わになっていく。
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