17:まっちゃ
2012/03/03(土) 17:58:47.35 ID:WC0t/lio0
少女は自分を庇って死んだ。自分を助ける為に。自分を死なせない為に。
これがもしどこかの冒険マンガであったとして、「仲間を庇って死ぬ」なんていうのはベタすぎる展開だ。
それを見た読者の中には感動するものもいればどうとも思わないものもいる。
作者だってすぐにまた別の話を考えて感動ストーリーはそこで終了。
「次回!新たな敵現る!?」なんていうフレーズで次に進んでいくに違いない。
中のキャラクターだって、過ぎた事として何事もなかったような顔で冒険を再開する。
では「助けられた仲間」は?
誰だって自分の命を助けられれば感謝するだろう。
泣きながら何度も頭を下げて何度も感謝の言葉を繰り返すだろう。
中にはどう言葉で表していいのか分からずただ泣き続ける者もいるはずだ。
しかしそれは、大抵が庇った者が生きている前提での話ではないだろうか。
もし、庇った者が死んでしまったのならどうすれば良い?
自分を助ける為に、自分を死なせない為に、自分を生かす為に死んだ仲間。
涙溢れる感動ストーリー。
恰好良く「お前のぶんまで生きるよ」なんて言葉で締め括られるかもしれない。
「お前の死は無駄にしない」なんて言葉をキメ顔で言われるかもかもしれない。
だがそれは
仲間が自分を庇って死んだというのは
逆を云ってしまえば
自分のせいで死んだということにはならないだろうか?
それは助けられた方だって分かっているだろう。
「自分のせいで死んだ」という事実を分かっていて、それでも前へ進もうとする。
もしかしたらそのせいで誰かに恨まれるかもしれない。
死んだ仲間の家族・友人・恋人、たくさんの人から非難の声を浴びせられるかもしれない。
自分の仲間の中からだってそれは例外ではないかもしれない。
それでも行く。前へと。ただひたすらに。仲間の思いを背負って。
しかし――
少年の世界は、そんなマンガみたいなものではない。
突然自分は勇者だと告げられたり魔王が世界を侵略しようとするなんてお話は、少年の世界では全く存在しないのだ。
あるとすればもちろんアニメやマンガの中だけの話。
故に少年は知らない。
こんなときどうすれば良いのかを。
こんなときどんな顔をすればいいのかを。
こんなときどんなことを言えばいいのかを。
目の前の現実は少年のいた『日常』とはあまりにも掛け離れていて――
少年の小さな背中にはあまりにもその『現実』が――
重すぎた
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