過去ログ - ほむら「この話に最初からハッピーエンドなんて、ない」
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73:以下、VIPPERに代わりましてGUNMARマンがお送りします[saga]
2012/03/25(日) 15:25:04.12 ID:rdb8npsf0
お茶会のお土産に必ず持ち掛けられる「巴マミとの共闘案」。
話の詳細は違えど、魔法少女として敵対していない場合は勧誘される、一連の流れは変わらない。
今回に関して言えば、濁ったソウルジェムを見せてしまった所為か、マミはほむらに優越感を持っている節もあった。
先輩魔法少女として未熟な後輩を指導する、という名目で一緒に居たい。
同じ時間を何度も繰り返すと、言葉の向こう側にそんな思惑が透けて見える。
……ほむらは、そんな風に考えてしまう自分が厭だった。

「私も、言っておきたいことがある」

「何かしら?」

「私は他人には最低限の干渉しかしないし、されたくもない。だから巴マミ、あなたの提案には乗れない。
 ……誤解の無いよう言っておくけれど、あなたと争う気は無いわ。無駄な衝突は嫌いだから。
 そうならないよう、それぞれが担当する区域を決めておきましょう」

ほむらは、期待と不安に揺らぐマミの誘いを断る代わりに管轄エリアの話を持ち出すが、
結果的に彼女の要求をピシャリと拒んだ形になってしまっている、と口にしてから気付いた。

どうして私は、肝腎な時に口が上手く回らないんだろう。
これじゃ、お茶の誘いを蹴ったのと大差無いじゃない。
……などと、己の立ち回りの下手さに、自己嫌悪を覚えるほむら。

対するマミは、少しだけ眉尻を下げて残念そうな表情を作りながら、控え目にだが食い下がる。

「無理してない? またピンチになるかも知れないよ?」

「あなたが気にする必要は無いわ」(訳:心配してくれてありがとう。私なら大丈夫です)

マミは取り付く島も無い様子のほむらに、内心落ち込んでいたが、どうにか体裁を整え取り繕った笑顔を浮かべる。

「……そう。それがあなたの意思なのね。……分かったわ。
 でも、もしも気が変わったら、その時はまた声を掛けて欲しいな」

「――善処するわ」

自分で撒いた種だけに詮無いことだが、そう答えるほむらの声色には苦々しいものが混じっていた。

「今日はもう遅い。担当する区域は後日、話しましょう」

「あ、待って。使用済みのグリーフシード、持ってるでしょ」

居た堪れなくなったほむらが、もう帰ろうと腰を上げると、マミに呼び止められてしまった。

「暁美さん、タイミングが良かったわね。今ならこれ以上穢れを吸う前に、回収して貰えるわよ」

"やあ、マミ。それと君は――君は誰だい?"

新たな来訪者の登場に心持ち嬉しそうなマミの言葉に続き、ほむらにとって最も聞きたくない耳障りな声が、頭の中に直接響いてくる。

……したっ。とつとつ。

室内用の小型犬や猫の様な足音がした窓際に厭々ながら視線を向けると、
白い兎に見えなくもない珍妙な小動物が、無機質なビー玉を通してじっとほむらを見つめていた――。


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