過去ログ - アンリ士郎「汝の欲す所を安価にて為せ!(キリッ」一同「へー」
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415:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/05(月) 00:58:25.92 ID:WRZWdCQu0
酒場


「よおよお、久しぶり」

 電話で言ったことと同じ台詞を彼は言った。
 見たことのないオレンジ色のポロシャツにジーンズという軽装だ。
 午前中に見た、近所の幼稚園児と同じぐらい日焼けをしていた。

「状況説明をお願いします」

「シエルちゃん、何か息が切れてないか?」

 私の質問には答えず、彼はようようとそう言った。

「伝言を受け取って急いで駆けつけてきたものですからね」

「ふーん?」

 そんなつまらない冗談に、彼はわははと大きな声で笑った。
 あいかわらずの業界人っぽい笑いにちょっと腹がたって、私は彼に背を向けた。
 その時、後ろで何かがミャアンと鳴いた。
 振り返ると、彼の手にバスケットがあった。その中からもう一度鳴き声がした。

「お土産。ナマモノだから今日中にどうぞ」

 そう言って彼は私にそれを差し出した。
 猫だった。
 全身真っ黒な紅い目の猫。
 その子は小柄な猫だったが、子猫ではなかった。
 意外と若いのか意外と年寄りなのか分からないが、毛の艶はよく、育ちの良さを伺わせる。
 バスケットを開けると、猫はびゅっと飛び出して行き、隅に置いてある観葉植物の陰まで走って行った。
 鉢植えの後ろから、おどおどした顔でこちらの様子を窺っている。私はすごく驚いて彼女を見て言った。


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