過去ログ - アンリ士郎「汝の欲す所を安価にて為せ!(キリッ」一同「へー」
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630:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/03/10(土) 21:39:37.84 ID:yheQES6i0
「このお不動様の本当の姿が如来様だと思うと、そのお気持ちが分かる気がします」


「知っていたのですか」


 僧の口から意外だという驚きの声が漏れる。
 教えてくれたのは亡くなった友人ですと、私は胸の内で言う。涙がみるみるうちに溢れてきそうだ。
 僧は黙って私を見つめる。


「一緒に祈って進ぜましょう」


 長い沈黙のあと、僧が言った。
 木の柵を開き、中にはいる。
 草履を脱いで、不動明王の前に坐った。小机の中から炉といくつかの壺を取り出した。
 僧は私には理解しにくい言葉を吐いて、何度かぬかずく。しかしそのあとの語句は抵抗なく耳にはいった。


 ──観想せよ、如来の心はこれ実相、実相はこれ智火、炉はこれ如来の身なり。
 火はこれ法身の智火なり。炉の口はすなわちこれ如来の口なり。


 お経には全く外国訛りがない。張りのある低い声が堂内いっぱいに響き渡る。私は手を合わせた。
 サクラを思った。いつまでもあなたを忘れません。いいえ、できることならあなたのもとに行きたい。
 あなたのいないこの世など、生きていても無益です。


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