過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/02/04(月) 02:05:42.64 ID:ouorT+Ut0
「七花!!」
ゲートから待ち構える様に、とがめが呼んでいる。心配そうな目だった。同じような目は、後ろの少女二人もしていた。
「絹旗は?!」
「……………」
七花は黙って、絹旗の体を、雪の様に冷たくなった体を渡す。その冷たさを知って、とがめの顔色がさらに青ざめた。
後ろにいた滝壺とフレンダはもっと青ざめて、わぁっと泣き出した。
七花は一つ質問する。
「とがめ。あの医者の所までどれくらいかかる?」
とがめはすぐに答えた。
「ここは最北の第三学区。第七学区からは遠い……。が、安心しろ七花。あのカエル顔の医者に連絡した。もうすぐ着く頃だ!」
そして、とがめは七花にこう命じた。いや、命じようとした。
「七花。すぐに行くぞ。七花も一緒に―――」
「―――………絹旗を頼んだ」
命じかけた上から、強制的に拒まれた。七花は踵を返す。とがめは慌てて、
「待てっ! 七花、何をする気だ!!」
七花は静かに、淡々と答えた。
「………………絹旗を、よろしくな」
「答えになってない!! 七花、七実と戦う気だな!?」
「……………」
七花は答えない。それは肯定を表していた。とがめは急いで絹旗を滝壺に渡し、すぐそばにいた運営呼び付けて怒号を飛ばした。
「おい、医務室に連れて行け!! 」
「それは許可できません。ルール事項10条に違反します」
確か、『戦闘中での怪我、損害、盗難などは運営側は一切責任を取らない』だった筈だ。
とがめは諦めずに交渉する。ここで交渉失敗するものなら、何が奇策士だ。何が尾張幕府家鳴将軍家直轄預奉所軍所総監督だ。ここで無能を働いているのなら、腹を切る。
「責任は取らんでいい。ただ、医務室を使わせろと言いたいのだ!! ここの設備なら、人工呼吸器の一つや二つある筈だろう!? そこを使わせろ! 責任は問わん。金が欲しいならいくらでも払う。だから娘一人の命、助けさせてくれ!!」
「……………………」
運営はしばらく考えた。すると、後ろから黒服を着た別の運営の人間がやってきて、ひそひそと耳打ちしてきた。そして二つ三つ頷くと―――。
「奇策士とがめ様、上から特別に、治療の施しが許可されました。第七学区の『冥土返し』様がもうじきに到着されるそうです。あちらの廊下でお待ちください。準備ができ次第、すぐに案内いたします」
「承知した。感謝する」
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