過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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845:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/15(金) 19:19:28.54 ID:WQVl3/1X0

「なら、一つしかない。―――ハッタリだな」


とがめはそう判断した。これはハッタリだと。否定姫の取引の目的は何か知らないが、これはとがめを混乱させる手の一つだと。

否定姫は鼻で笑う。


「否定するわ、それ」

「なら、証拠を見せてみろ。外と中の時間に100倍のずれがあるのなら、その証拠を見せてみろ」


時間操作だと見せかける為に、携帯電話に特殊な電波でも浴びせて時計を止めたか何かしたのかもしれない。

否定姫がそんな大きな器具を持ち合わせているとは思えないが、相手の手札が見えない以上、予想は大きいに越した事は無い。


「どうした、見せてみろ」


と再びとがめは言う。と、


「いいわよ」

「!?」


ガラッと、ドアを開ける音がした。否定姫が開けたのだ。呆気無く。堂々と。


「外に、何か投げてみなさい。椅子でも机でも、明日の天気を占う気分で下駄でも放り込みなさいよ」

「……………」


一瞬戸惑ったが、とがめは言う通りにした。投げるのは近くにあった手鏡を持ち、軽く投げる。


「よっと」


届くかどうか心配だったが、手鏡は綺麗な弧を描き、ちょうど虚空の真ん中に届き――――――――そのまま、静止した。


「あ!?」

「え!?」

「………!?」


投げたとがめも、横で見ていた滝壺も、壁に磔にされていたフレンダも、一同驚愕に顔を凍らせる。


「はい、これが証拠よ」


と、否定姫は宙に浮く手鏡に手を掛け、体重を掛ける。だが、手鏡は一向に落下しない。


「よく見なさい。この手鏡、本当にゆっくりだけど前進している。100倍の遅さだけど、確かに前進しているわ。それでも疑うと言うのなら、その拳銃を撃てば?」

「……………とがめ」

「いや、いい。どっちにしろ、今は絹旗の命が優先だ。もしこやつのいう事が本当でも、ここでは絹旗が助かるまでの残り時間の減りかたは変わらん。医者が来るよりも、認めたくはないが、奴の話を聞いた方が早いというのがわかったのだからな」


絹旗の方を見る。

人工呼吸器をつけ、何とか呼吸はさせているが、一刻を争う場合ではない。

冥土返しをいくら待っても、否定姫の言う通り全く来ない。なら、ここは否定姫の話を聞くしか道はない。


「それが賢明ね」




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