過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/02/15(金) 19:34:53.26 ID:WQVl3/1X0
それが引き金だった。
いよいよ完全に狂ったとがめは堰を切った水の様に、走り出そう様に口を割る。
「わ、解った!! わかったから!! 七花は!! 七花には、七花だけは殺さないでくれ!!! 死なせないでくれ!! わ、わ、わ、私は…七花は……!!」
恐怖と混乱と涙と懇願。とがめは否定姫の足元に縋る。神に祈るようだった。
「お願いだ、『千刀 鎩』は第七学区の病院の地下倉庫に保管してある!! だから、私はどんな風になっても私を殺さないでとは言わない。だが他の者たちは殺さないでくれぇえ!!」
「よし、許しましょう」
否定姫は満悦の表情で柏手を二回打った。
すると、とがめを囲んでいた光景は一転した。
いや、元に戻った。
後ろを振り返る。そこには、二人の少女が倒れていた。一人はフレンダ=セイヴェルン。一人は滝壺理后。その少女たちは二人とも“生きていた”。先程死んだというのに。
フレンダの上半身はちゃんと下半身とくっ付いていて、滝壺の穴と言う穴からは血など一滴たりとも流れていない。
訳が分からなくなって、否定姫を見上げる。
すると、彼女は一言だけ答えた。
「幻術よ」
「…………あぁ、あああ」
崩れ落ちるとがめ。それは安堵か、疲労のせいか。
それを嘲笑い、否定姫は踵を翻す。
「じゃあね奇策士。これで今まで私に散々侮辱したり地位から蹴落としてくれた事はチャラにしてあげるわ。これからも刀集め頑張んなさいよ♪」
そして去り際に、
「それでも、あの魔王様はあんたの大事な大事な、そして私の大切な大切な七花くんの首、本当に刎ねかねないから。あの刀の持ち主なら、ちゃんと管理してやりなさい♪」
と言って、ドアを潜る前に、否定姫は柏手を打ってから去って行った。
―――これが、奇策士とがめの、この世界における最初の敗北である。
「…………ぁ、ぅ……」
いまだにあの光景が耳に離れずにいた。目に焼き付いた映像が離れない。
涙も出ない。声も出ない。
もう何もかもが出し過ぎた。
数十分経った頃だろう。ようやく心が落ち着いてきた時だった。あれから冥土返しは一向に来ない。
「……あ、絹旗」
その時、ようやく絹旗の存在を思い出した。
そうだ、絹旗は今、命の危機にある。早く、彼女の命を助けなければ。
落ちた膝をどうにかして立ち直らせ、体を起こす。
そして、ストレッチャーの上にいる絹旗の姿を見た。
相も変わらず傷だらけで、今にも死んでしまそうな体だろう。
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