過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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854:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/15(金) 19:36:46.43 ID:WQVl3/1X0


だがストレッチャーの上には、刻まれていた筈の傷は消え失せ、規則正しく寝息をする絹旗の姿があった。ちゃんと両の眼孔には目玉もある。


「……………え?」


否定姫の仕業であるほかなかった。

証拠に、彼女の傍の壁に否定姫の筆跡の血文字で、


『ちょっとやり過ぎちゃったお詫びよん♪ 今日の経験値の分はちゃんと成長させたから。感謝しなさい』


と。

この文章は誠だろう。

体つきが、少し大きくなっていた。身長も伸びている。

それよりも目立ったのが、長く伸びた髪だった。原因は不明だが、後ろ髪は肩甲骨の真ん中くらいまで、前髪は鼻先まで伸びていた。

その姿で、生まれ立ての赤子のように眠っていた。


「―――――――ぁぁああぁぁ……」


とがめは再び崩れ落ちる。

安心していいのか、不安がっていいのか、もうどうでも良くなっていた。

もう、心がボロボロになって動けなかった。

ただ七花が戦っているスタジアムへ赴けず、ただそこで否定姫が書いた血文字をずっと見つめていた。

それしか、出来なかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


否定姫は廊下を歩く。

速足で、つかつかつかと。

誰もいない筈の廊下で、ここにはいない筈の臣下に命ずる。


「第七学区の……ほら、あんたが土御門を追って行った……ちょうどあの馬鹿男が入院している病院の地下に、『千刀 鎩』があるから、私が造った霊装を持って回収に行きなさい」


虚空に命令するみたいだった。

だが、虚空は答える。


「承知」


と―――。

左右田右衛門左衛門がすぐに行動に移したのを確信すると、歩きながら柏手を打つ。すると、背後に黒服と黒サングラスを掛けた男が三人走ってきた。

とがめに『冥土返しはあと数分でやってきます』と言い、絹旗をストレッチャーに乗せ、あの集中治療室に誘った運営達だ。

否定姫は


「滅」


と呟く。

すると、運営の姿をした式が紙の人形に変化して地面に堕ち、自動的に着火して燃え、消えていった。

つまり、そう言う事なのだ。




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