過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/02/15(金) 20:42:03.89 ID:WQVl3/1X0
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エピローグ其ノ壱〜怪物を怖れた小市民と怖れなかった狂人達〜
「…………………なんて、こった」
垣根帝督は席から飛び上がった。
顔の色は驚愕一色。無理もない。――――たった今、一人の尼が垣根しか持っていない能力『未現物質』の象徴である六枚の白い翼を羽ばたかせている。
「確かあいつ、『私は病弱だから長時間連続では戦えない』って言っていやがったが……。そうか、俺の未現物質を使ったのか!!」
否、それだけではない。
七実はかつて、自らを弱くするためにありとあらゆる技術を吸収してきた。それは自らの体の寿命を延ばす為…。だが、それでも七実は死にかけだったし、死んだ。
そしてこの世界に来た時以来、七実はまるで暴飲暴食を繰り返すインドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場するクンバカルナの様に、ありとあらゆる格闘技や超能力をずっと喰ってきた。
垣根は思うに、七実の吸収した技術は白血球の様なものではないか、と考える。
百億の不死の病に侵され、虚刀流と言う大きく過負荷が掛かる状態だった七実。
それに少しずつ他の技術を加え…いや“投与”し、虚刀流の過負荷を低減させたのだ。
真っ黒な墨を水で薄めると例えた方がしっくりくる。
それとも、澄み過ぎて飲めない真水を様々な雑味を加えて、味のある飲めるジュースにした、と言った方がいいのか。
(いや、例え話は逆に分かりにくい。そもそもヤツの病弱体質を変えるには、二つの能力で十分だ。
この世にない素粒子を創る未現物質と生体電気を操る雷電閃光……。片は細胞を創る事を可能に、片は細胞を作る化学反応の切っ掛けを作る事が可能にする。
この二つを組み合わせれば、―――“体中の細胞を造り変える事が可能”!!)
そんなの、ノーベル賞レベルの頭脳と知識が無いと出来ない芸当だ。奴にはそれがない。だが現にできている。
(そうか、無意識でやっているのか)
垣根は何度でも目に入る光景を見直す。
だが、あれは紛れもなく『未現物質』であり、当然、垣根は長年の努力の結晶をたった十数日で完成させられるのを目にして、
「はは、は、ははははは………。す、すげぇや。すげぇよ………。俺以上の天才じゃねーか。はは、ははははははははははは……………」
驚きの驚きは、突如、怒りに変わった。狂った垣根は叫びをあげる。
「―――ふざけるな……。ふざけるな、ふざけるな! ふざけるな! ふざけるな!! ふざけるな馬鹿野郎ォッ!! そんなふざけた馬鹿げた馬鹿馬鹿しい馬鹿話があったもんかよ!!」
「落ち着きなさい」
隣のドレス姿の少女が諌めた。だが垣根は止まらない。何故なら、この瞬間で垣根帝督の人生が無駄に終わったからだ。
「これが、落ち着いていられるか? 落ち着いて何になる? 俺の人生が、俺の『未元物質』が、『未元物質』だけに生きてきた俺の人生が!! 超能力者って最強のクラスになるまで死ぬ
ほど努力してきた、この道程が!!」
「落ち着きなさい」
「その努力を!! その過程を!! その人生を!! 俺は今!! この時!! この瞬間!! あのクソアマに!!出会ってからたった数週間で!! 完全否定されたんだぞ!!!」
「落ち着きなさい!!」
「…………ッ、」
少女は珍しく声を荒げる。泣きそうな声だった。垣根は思わず黙る。少女は、目を細めながら、七実を怨めしそうに見つめていた・
「―――そんなの、私だって同じよ」
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