過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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875:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/15(金) 20:44:51.54 ID:WQVl3/1X0
同じとき、VIP席や観客席にいた、学園都市の研究者たちは幾つもの超能力を同時に扱う七実を見て、研究材料にしたい―――とは思わなかった。

あまりにも危険すぎて恐怖した。だからと言って排除しようとすると、その瞬間こちらが彼女の手によって細切れにされると直感的に考えたからだ。


「なんて、化物」


雲川芹亜と貝積継敏も、驚愕していた。何故なら、あの女は27歳と言う妙齢でありながら超能力を発動させ、そして複数の能力を扱って見せた。

超能力は原則、一人の能力者に一つの能力しか与えられない。

理論的に不可能だからだ。無理に行えば脳に掛かる負担が重すぎて、廃人になる。

故に、それが出来る能力者を『多重能力者(デュアルスキル)』と呼び、絶対能力者(レベル6)と同じ学園都市の悲願である。

以前、それに近い事をやってのけた研究者が自らの体でやっていたが、それは『多才能力(マルチスキル)』と言う能力で、似てはいるが多重能力者とは全く違う代物だ。


「貝積、鑢七実のAIM拡散力場は?」

「今報告があった。――――多才能力ではない。多重能力だ。間違いない。AIM拡散力場の数値は、学園都市にいるどの学生にも当てはまらん。そして異常だ。実質、一方通行以上の能力者だ」

「………ありえない」


凄すぎて、むしろ感動すら覚える。


「原石だ、削板軍覇以上の。奴がダイヤモンドの原石なら、奴は地球だ。一兆人分の一人の確率の、奇蹟の様な化物だ」

「貝積、あの人、本当に人間なのかしら。人間の姿形はしているけど」

「紛れもない人間だろう。この老いぼれの眼が霞んでいなければ、あれは人の型とをしている。意思があり、学習能力もある。人間だ。だが、学習能力が驚異的に異常だ」

「…………」


雲川は―――笑っていた。策が閃いた、そんな顔。


「あの人を、こっちに迎え入れましょう」

「――――――何!? 正気か、あれは邪神の類だ。触らぬ神に祟りなしと言うだろう。殺されるぞ」

「何を言うの、あれは人間だと言ったのはそっちじゃないか。人の体を持ち、人の心を持つ、人間なんだろう? だったら、手綱を持ってあげれば、悪い事はしない限り悪い事はしない筈だ。まぁ、鑢七実が凶悪な人格を持っていたら話は別だけど」

「……………」

「大丈夫、まずは性格診断よ。鑢七花の実の姉なら、笹斑瑛理に一任しよう。――――で、笹斑さんは?」

「昨日、鑢七実に瀕死の状態にされたのを覚えてないのか? 第七学区の病院で入院しておる。意識は戻っておらんから、看病しておるよ。あの男、聞いたところによると武装無能力者集団(スキルアウト)に、昔から恨まれているそうだな。その敬語も兼ねてもらっている」

「そう。なら、今すぐにその病院に行きましょう」


雲川は踵を返して歩き出す。


「なんだ、帰るのか。結末を見なくてもいいのか?」

「結果は見えてるわ。鑢七花の敗け。それよりも大切な事があると思うけど?」

「………部下思いもいいが、老人の心労もわかってくれ。安心しろ八馬は自らの能力で命だけは取り留めている」

「ああ、そう。なら安心ね。――――ああ、さすがに二徹はしんどぉ〜。帰って寝よ」


と、あくびをしながら伸び、雲川は貝積と共に帰って行った。


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