過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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883:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/15(金) 21:01:49.85 ID:WQVl3/1X0
驚いた。それは異常だ。絹旗は小食な方ではないが、大食漢ではない。あの小さな体で五日分の飯をどうやって食べきったのか。
それを伝えると、七実は不思議な顔をした。


「やっぱり……」

「やっぱり?」

「きっと、否定姫さんの仕業ね。人間、あそこまで人体を破壊されて、元通りになる訳ないじゃない。否定姫さんが何らかの施術をして、それの影響がそれなのかもしれないわ。
それに、再び目が覚ました後にその事を伝えると、まったく覚えてなかったわ」

「…………否定姫、しかいないな」

「ええ、とがめさんが言うには、気付いた時にはもう治っていたらしいのよ。それに否定姫さんは奇妙な術を持っている。まるで狐に化かされたような、魔法みたいだったって」

「ふぅん。それで、姉ちゃんは絹旗をどうするんだ? 方針とか」

「主に虚刀流の技を教えるわ。十日で奥義を独学で二つ習得できるもの、三日もあれば技の全てを、五日もあれば奥義の一つは叩き込めるわ。現に昨日徹底的に痛みつけたか、今は気絶している最中。未現物質と電気操作で回復力を上げさせているから、昼頃には目覚めるでしょう」

その場を見ていたら、きっと地獄の様な光景だったのだろう。恐ろしくて想像する光景に靄がかかっていた。

「わかったよ。で、何処でやってるんだ? 顔が見たいし、絹旗も喜ぶだろうし」

「駄目よ」

「え、なんで」

「駄目よ。そんなことしたら、あの子が甘えちゃうじゃない。その甘えがあの子の成長を妨げているの。大体、大覇星祭が終わる頃までには見違えるほど成長していると思うわ。体も、心も」

と、七実は笑う。―――邪悪な笑みで。

「…………」

ぞっ。

背中が凍りつく。ああ、絹旗、どうか無事でいてくれ。そう言うしかない七花であった。
そのあと、幾つか談笑をしたのち、七実たちを見送った。どうやら、もうそろそろ絹旗が目を覚ますだろう時間帯だからだ。
玄関で七実は下駄を、布束は革靴を履く。履き終わった七実は振り返り、

「じゃあ、七花、これからもお互い気を付けましょうね。この街の闇は深いから、変な事に巻き込まれない様に」

「ああ、了解。姉ちゃんも外、気を付けてな。――――あ、そうだ。そう言えば……」


七花は今更気付いた事があった。


「姉ちゃん。とがめはどうしたんだ? この家にはいないようだが……」

「ああ、とがめさんなら……」

七実はドアを開けながら、

「病院よ。滝壷さんとフレンダさんを連れてお見舞いに行ったわ」

「そうか。ありがとう。それなら夕方には返ってきそうだな」

「それじゃあ、また夜に来るわ」

「おう、とがめにはこっちから伝えておく」

七花は手を振る。七実は手を振り返し、笑顔で出ていった。七実の気配がこの階から消えた事を確かめると、七花は踵を返して居間に独り言を言いながら戻る。


「ふぅ…。いや、びっくりした。まさか姉ちゃんがいるとは思わなかったなぁ」

と、今で笹斑が待ち構えていた。

「七花さん」

「おう、何だ」

「今日の事は、てか、私と七実さんの会話全部、とがめさんや滝壺たちには内緒にしてください。オナシャス!」

「……別にいいけど、なんで?」

「それは……き、禁則事項です❤」


きゃるんとしたアニメ声で、そうとしか言えなかった笹斑であった。


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