過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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884:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/02/15(金) 21:05:58.92 ID:WQVl3/1X0
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エピローグV〜木原数多の憂鬱〜


「くそったれがぁっ!!」

任務失敗の報告を受けて、木原数多は受話器を叩きつけた。精神の中にいる四季崎記紀はまぁまぁと、

『そう怒るな兄弟』

「そうは言ってられねぇんだよ。鑢七実を捕える為に費やした人員で、俺の手駒の半分は失っちまった。チキショウ、アレイスターにまた頭下げなくちゃならねぇや」

『虎を狩るには相当な犠牲が必要だ。ましてやそれが俺の最高傑作の副作用にして最高傑作の刃を研がせる鑢……。そう易々と人間に倒されるよう作っちゃいねぇはずだ。言ったろ、準備を整えてからにしろって』

「ああ、それは解っている。だがよ、俺の他にもあのバケモノ捕まえようって企んでいる調子乗ったバカヤロウがウヨウヨいるんだわ。まったく、そいつらのおかげでこっちも手を伸ばさなくちゃならなくなったじゃねぇか。クソが」

『安心しろ、鑢七実は簡単に死なない。もはやあれに勝てる人類がこの世にいると? あれは学習する殺人機械だ。微刀なんざ、奴に比べたら童の人形だ』

「ばーか。そう安心してられねーんだよ四季崎」

『ん?』

木原は焦っている様に、髪を掻き揚げた。汗で指が濡れる。

『何で、安心できねーんだ?』
「ウチの家のモンが本格的に虚刀流と鑢七実の研究と捕獲に乗り出したんだよクソタレが!!!」
『っ』

今年のグッドデザイン賞に受賞された高級品の椅子を蹴り上げ、

「乱数のクソヤロウに、キチガイ病理、イカレ女の唯一。それに、導体のジジィに、解法のババァに、蒸留のガキまで来た。――――。そいつもこいつも曲者ばかりだぞ」

『どうしてわかる?』

「逃げ帰ってきた部下が報告してきた、作戦行動中に乱入して邪魔してきた奴らのリストに、こいつらの兵もあった。一つ、明らかにガチャメカと魔改造された駆動鎧の集団があったが、それは明らかに病理だ。ああーあいつ、昔は可愛かったのになぁ。あー思い出したらイライラしてきた」

『お前のその回想中のの病理ちゃん七歳と、今の病理さん三十歳、この間に何があったんだ』
「さぁな。きっとNHKの特番一本分に渡るドキュメンタリードラマがあったんじゃねーの」

木原は蹴り上げた椅子を立て直し、どかっと座る。自然と椅子は後ろに下がり、止まる。

「それよりも、だ。鑢七実は置いておく。あれは今の俺たちのレベルじゃあどうしようも出来ねぇ。他の奴らもそうだろうな。しばらく後回しだ」

『それが賢明だ。―――おい兄弟。“あれ”は順調か?』

“あれ”

それを聞いた時、なにかを木原は思い出したのかハッとして、ニヤッと口角を吊り上げた。

「そうだった。俺にはあれがあるんだった……。鑢七実をぶっ飛ばすにはまだ無理だが、鑢七花をぶっ殺すにはもうじきだな」

『そら楽しみだ』

「ああ、楽しみだ。楽しみ過ぎて勃ってきやがってぜ!! あっはははは、あはは、あははははは!!」

木原は爆笑し出す。
この部屋には、今木原が座っている椅子と対になっている机がある。それもいつと同じくらいに高級な物で、その上にはある研究者たちのリストがあった。
そのなかの一人…顔写真と共に名前が書かれてあった。


『芳川桔梗』


そう、このリストはかつて、学園都市第三位の超能力者 御坂美琴の軍用クローン『妹達(シスターズ)』を大量生産しようとし、生産した二万人を一位である一方通行に殺害と言う形で処理しようとした人間のクズたちである。
木原がやる手段は一つ。
それはとある人物のDNAを使って、『妹達』と同じ、軍用クローンを生み出す。
知っての通り御坂美琴のクローンは1%に見たない。だが、それを補う形で百人、千人の軍集団として活動させれば、かつてない地上最強の軍団となるに違いない。
今回の件で、その人物の戦闘データは大方取れた。まったく、あの下らない茶番劇もたまには役に立つものだ。
あとは資金と研究所と研究員だ。出来るだけ、量産型能力者(レディオノイズ)計画と絶対能力進化(レベル6シフト)実験の研究者が欲しい。あの実験は失敗こそしたものの、優秀な研究者が数多くいた。
既に死亡している天井青雄は当然だが、鑢七実と共に行動している布束砥信の獲得は難しい。二人は重要な役を担っていたから、余計に痛い。


「それでも、俺はやってやるぜ」


木原数多は密かに暗躍する。大きな声で高笑いをしながら。
そしてリストと同じように、机に置かれた計画書が一冊。その名は―――


『量産型虚刀鑢製造計画』


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