過去ログ - 鑢七実「ここは………どこかしら?」布束砥信「学園都市よ」
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[sage saga]
2013/04/02(火) 03:30:29.71 ID:2lbVeYvl0
「――――あ、」
と、そこで何かを思い出したのか手を止めた。
「重要なあれを忘れるところでした」
急いで棚に向かう。その中から茶葉と急須を取り出した。『円柱型の茶葉入れの蓋をあけ、その蓋に少量の茶葉を出し、決まった量になったら急須に入れ、湯を注ぐ。
ほうじ茶の最適温度は九十五度。沸騰するかしないかの高温の方が香りが高くなる。
盆を取り出し、茶碗と梅干しの皿と急須と箸を乗せ、食堂に移動して先程座っていた席に付く。その間、三十秒。
「……そろそろですね」
さぁ、この瞬間を待っていた。
急須を持つ。傾ける。白飯と鯛が待つ茶碗に熱々の茶を注ぐ。
とぽとぽぽぽぽ……と、香り高いほうじ茶が白飯に掛かり、熱湯を掛けられた鯛がきゅっと反り上がる。そして最後に画龍点睛。梅干しを頂点にちょこんと乗せた。
日本の朝と言えば梅干しである。日本人は朝を梅干しで始めるのだ。白米、みそ汁、焼き鮭、卵焼き、小鉢、そして梅干し。
だが、今日の食卓にはおかずが無い。味噌汁も、焼き鮭も、卵焼きも小鉢も、何もない。
これでは食卓には花が無く、白飯だけでは味気ない者だ。
しかし、梅干しがある。これ一つあるだけで、白飯だけの食卓に花が添えられる。食が進む。梅干しはある意味、味噌や鰹節よりも代表されるべき日本の発酵食品ではなかろうか。
そして神裂が所有する梅干しは彼女の家が代々、歴史と技術の粋を込めた自家製の梅干し。
「……………」
箸を置く。
経った今七時を回った。朝食にしては丁度いい時間帯だ。丁度腹も空いていた。
今喰わずしていつ喰うのだと、茶碗がテーブルの上で鎮座する。
ならば応えよう。甘い米を掻きこみ、香る茶を啜り、薄く切った鯛を噛み締め、梅干しの酸っぱさを堪能しよう。
「では―――」
神裂はゆっくりと手を合わせる。
この米を作って下さった農家の皆様。鯛を釣って下さった漁師の方々。茶を摘んで下さった茶摘みの人達に梅を育てて下さった梅農家の人達、それらを売って下さった数々の人達……。そして、命を下さる食材たちに感謝を込めて。
「いただきます」
そして、目をカッと開けて、右手に箸、左手に茶碗を持って、今こそ箸を付けようとしたその時だった。
眼前。目の前。約4m前方。
突如として爆発が起こり、爆音とともに白い煙が部屋を包み込んだ。
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