過去ログ - おっさんがハッピーシンセサイザーを踊るまでに至る長い経緯(勝手な妄想)
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/02/20(月) 18:13:06.34 ID:tqalGdHs0
日が暮れる頃にマンションへ戻った俺たちは買ったものを運び、家に入る時に俺は大声でただいま!と言う。

「・・・・・た、ただいま」

嬉しかった。朝言ったことを覚えていてくれたんだ。
とても小さな声だったけれど、俺にはちゃんと聞こえたよ。
荷物運びを終えた後は、風呂の用意をしなくちゃなと思ったが帰りに近所の惣菜屋で買った弁当が冷めてしまうから先に晩飯にする事にした。
それに先に言っておかなければいけない事がまだ残っているし。

「えーと、改めてこれからよろしくな」

食べ終えて、一息ついたころ改めて恭子に挨拶した。
そして未だ残っている問題に対し彼女にどう告げようか迷っていたら、彼女は急に真剣に面持ちになり

「おじさん!私をここに置いて下さい!アルバイトもたくさんします!なるべくご迷惑にならないようにしますから!」

不意打ちだった。

「え、あ、えっ?」

何を今更、そう思ったが恭子のその意を決した顔を見ると、なんとなく理解できた。
きっとずっと、ちゃんと言わなくちゃいけないと思っていたのだろう。
そして、もうあの家には帰りたくないという気持ちから発せられた言葉なのだろう。
ならば、俺も彼女にちゃんと言わなくてはいけない、誤魔化しきれる事ではないから。
俺は軽く息を吸い込む。事実を伝える為に。

「スマン、恭子!俺、実は飯が作れないんだ!」

言った、言ってやった。料理が出来ない独身の俺が簡単に未成年の子供を引き取るなんて言ってしまってからずっと悩んでいた事。

「一生懸命、練習して料理を覚えるから!食べられるものが作れるようになるまで、外食とか、惣菜、弁当で我慢してくれ!して下さい!」

彼女の反応を見るために恐る恐る顔を上げると、何というか、ぽかーんとしていた。

「えっと、あの、料理ぐらいなら私出来ます、・・・あの、家事とかも得意ですし」

あ、あー。そういうのもアリなんだ。俺の悩みはすぐに解消された。
こんな事なら料理特訓休暇の申請で会社の上司と取っ組み合いの喧嘩なんかするんじゃなかった。
結局、休み取れなかったけど。

「じゃあ、よろしく頼む。家事のバイトたくさんして貰おうかな、ちゃんとバイト代をでるよ」

お小遣いを遠慮させない口実にもなる、よくやった。

「あの、それは・・・アルバイトとは別にでもちゃんとやれますから」

はいはい、バイトなんて保護者の許可は出せません。

「まー、まー、とりあえず湯沸かし器の使い方から教えよう」

きっと、なんとかやっていける。

「あ、はい!お風呂場の使い方教えてください」

あなたの娘がちゃんと社会にでるまで俺が見守ります。
いいですよね、師匠。

何とか二人の生活のスタートを切れたと安心しきった俺だが、恭子の部屋に未だ詰まれた電化製品のダンボールが視界に入り、orzってなった。



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