122:ブラジャーの人[saga]
2012/03/25(日) 22:22:12.32 ID:WXly0sha0
「フィガロっ、もうこんなとこまで逃げて。……あれ?」
「ママー、知らない人見つけたー」
今度はちゃんと歩道を小走りに、もう一人が現われる。
彼女が子供を追いかけていた母親に違いない。片目を隠した長い髪は腰まで届いていた。
美形は美形だが、金髪以外は「フィガロ」と呼ばれた子供にあまり似ていなかった。
彼女が子供を抱っこした直後、一方通行を襲った圧迫感は消え去る。
(………、止まった……)
「君、どうかしたのかい? フィガロ、何かしたの?」
「なんにも? たった今会ったばっかだし」
心配そうな打ち止めに「大丈夫だ」と告げて、一方通行は態勢を立て直す。あの一瞬の負荷には心当たりがあるが、今は身重の彼女に、心身共に負担は掛けたくない。
「俺は何ともない。オマエらは誰だ? 宮殿で働いてるヤツじゃなさそォだな」
パタリロは、『君達二人が滞在することは、宮殿に務める全ての者が知っている』と言っていた。では、自分達を知らないこの親子は何者なのか。見ために不審なところはないが、たった今起こった体の異常事態が不審満載である。
「ぼくはマライヒ。この子はフィガロ。パタリロ……、ここ国王の友達だよ」
まだ不安そうな打ち止めに支えられながら、一方通行は『普通の子供』にしか見えない彼を凝視した。
「えへへ、フィガロだよー」
フィガロはただ、無邪気に手を振っている……
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