310:ブラジャーの人[saga]
2012/04/27(金) 21:44:14.67 ID:jYGOY3OA0
打ち止めは本当に嬉しかった。
自分のことを考えて、柄じゃないことをしてくれた一方通行が愛しい。愛されていると実感できる。
特別に思ってくれているから、他の誰もが持ち得ないような特別な指輪を用意したのだろう。
それはいつ入手できるか分からない物だったから、こうして異国の地に同伴させたのだと、今になって様々なことに合点がいった。
昔なら置いて行かれただろうに、夫婦となって、子供を授かった今は連れて来てくれたのだ。
離れたくない。オマエもそうだろう? と。
『打ち止め』を欲して素直に伸ばされる手に、妻たる自分も躊躇いなく縋れる幸福。
「キレイだな、ってミサカはミサカは……涙が出そう」
「………」
「こんなにキレイな指輪を貰って、ミサカはとっても嬉しいよ、ってミサカはミサカはお返しの指輪に力を込めることを誓ってみる」
「無理すンなよ。どンなのだって構わねェ」
「分かってる。『コレ』と張るつもりは毛頭ありません。要は、あなたは既にミサカの旦那様だと周知してもらえれば、ってミサカはミサカは指輪の効果に期待を寄せてみたり」
他に気を許すつもりなんてない。ありえない。
それでも打ち止めがくれた指輪なら、喜んで着けよう。鎖に繋がれた姿に安堵してくれるなら本望。一方通行だってそうしたいぐらいだ。
「そンじゃあ、そういうことで。俺寝るから」
「うん。おやすみあなた……」
一方通行はゆっくり体をベッドに倒す。打ち止めに支えられながら。
彼女はシーツの上を膝で移動し、夫の頭を太ももの上に乗せた。髪を梳いて、耳や頬を撫でていると、ほんの数分で眠りにつく。
それでも自然に手が動いて、打ち止めは一方通行の重さを感じ続けた。
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