329:ブラジャーの人[saga]
2012/05/02(水) 23:33:21.31 ID:fb4W8g0t0
一方通行が仕事をしに自宅近くの事務所に出向いている間に、マリネラ土産は届いていた。それを上の階の部屋に運ぶまでもなく、黄泉川愛穂も芳川桔梗も自宅に来ていたが。
「おかえりなさい一方通行。新婚旅行は楽しかったかしら?」
「おかえりじゃん。お土産ありがとなー」
そう言う保護者達だが、二人とも打ち止めに群がったまま、ろくに一方通行を見もしない。番外個体は離れた場所でブランカを抱えて弄っていた。
「あなたおかえり、ってミサカはミサカはヨミカワとヨシカワに遮られて」
「綺麗ねぇ。何カラットあるのかしら」
「知らないじゃん。ダイヤなんて縁がないし」
「いくらくらいするのかしら」
「知らないじゃん。ダイヤなんて縁がないし」
久しぶりに会った子供への挨拶もおざなりに、黄泉川達は打ち止めの指輪にばかり注目している。
一方通行はリビングの隅で愛犬と戯れていた番外個体に近寄った。ブランカがご主人様に飛びつきたがっているが、番外個体が離してくれない。
「ありゃなンだ」
「……お姉ちゃんの指輪が羨ましいんでしょ。見れば分かるくせに」
「………」
黄泉川も芳川もやはり女性である。宝石が嫌いなわけはない。それでもあんな風に、大人げなく打ち止めに群がってまでとは……。
一方通行は意外に思った。それはあのピンクダイヤが、普通のダイヤとは大きく一線を画す代物であることも一因だ。
「オマエも?」
「べつにぃ。ただ普通に綺麗だとは思うけど」
「ふゥン……」
その夜、一方通行は別れの挨拶を交わしたばかりの、かの国の王様に連絡を取った。
黄泉川と芳川にはピアス。番外個体にはネックレス。
一カラット未満だが、それぞれにホワイトダイヤのアクセサリーを注文するために。
(たまには家族サービスってかァ?)
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