過去ログ - とある未来の通行止め その3
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532:ブラジャーの人[saga]
2012/06/13(水) 20:14:04.49 ID:0l1aWSKh0

時々、かすかだが打ち止めの叫び声が聞こえる。その度に胸が締め付けられる。

三十分ほど経ったころ、急ぎ足の人物が一方通行と番外個体の前で立ち止まった。冥土帰しだ。

「やぁ、二人とも暗い顔だね。大丈夫。お産は今のところ問題なく順調に進んでいるようだよ」

彼は緊急の手術を終わらせ、休むこともせずに、こうして打ち止めのところに駆けつけてくれた。主導するのはあくまで産婦人科医だが、
彼がいて困ることなどありえない。底が見えぬ医療の知識と技術は、どんな場面でも力になってくれる。

声をかけてくれた冥土帰しにろくな返事もできず、青年達はただ頷くだけ。医者から告げられた「順調」という経過に少し表情は明るくなったが。

「僕は芳川君と一緒にモニター作業を担当するよ。何かあったら、すぐに君達を呼ぶからね」

冥土帰しが分娩室へ入るために扉を開け、打ち止めの泣き叫ぶ声が瞬間的に大きく耳に届く。
二人は思わず立ち上がった……が、すぐに長椅子に座り直した。どちらともなく、溜息がもれる。
あんな悲痛な声が出ていても、順調なのだ。




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