過去ログ - とある未来の通行止め その3
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598:ブラジャーの人[sage]
2012/06/22(金) 00:42:21.60 ID:XUfJ5ZpI0

「もうすぐお医者さんがくるよ。おれがよんだ」
「そう、かよ。…そこのナースコール、でもよかったんじゃねぇの」
「……しっぱい」

褒めてもらいたくて張った胸を引っ込め、子供は目を逸らす。

「おい、ガキんちょ。水、持ってきてくれ」
「いいよ。ほかには?」

幼児のクセに、いやに気が回る。垣根はふと考えて、点滴針が刺さっていない右手で顔に触れた。顎、頬、額。

「鏡、持ってこい」
「うん」

素直に頷き、子供はまた出ていく。

「こらこら、ここは病院なんだから、緊急以外は走っちゃいけないよ」
「きんきゅー!」
「じゃあ仕方ない」

入れ替わりに入ってきたのは、カエルに良く似た白衣の男だった。

「おはよう、垣根くん。気分はどうだい」
「良くはない」
「そりゃそうだね。これから君にはたっぷりと検査を受けてもらうよ」
「ふぅん」
「自分の状況はある程度理解しているかね?」
「ある程度は、な」

その時、開け放していた扉の向こうに、ひょっこり黒い髪が。垣根は医者との話を中断してそこを見る。
冥土帰しも彼の視線を察知して振り返った。プラスチックのコップを両手に持った子供が、
そればかりを見つめてスリ足で入ってくる。とても心配になる光景だ。零さないか、転ばないか。

「もってきたよ」
「おう」

飲んでも? とコップを指さす。冥土帰しは了承した。

「飲めるなら飲みたまえ。ゆっくりだよ。胃が驚く」



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