過去ログ - 日常のSS
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148: ◆1g8i..4pHg[saga]
2012/12/13(木) 02:42:33.03 ID:Kxp/NaJyo
こんばんは、遅くなりました。

ようやく「はかせの愛したなの」の後編が書き上がり、これにて完結です。
もう前回の投稿が何ヶ月も前になってしまっているため、できれば前編と中編をもう一度読んで思い出していただけるとありがたいです。

以下略



149:はかせの愛したなの 後編 1/14[saga]
2012/12/13(木) 02:43:56.51 ID:Kxp/NaJyo
何度もこの8年間を繰り返していく中で、分かったことがいくつかある。

まず、どの時間軸でも必ず16歳の10月7日、彼女が死亡しその後時間が巻き戻るということ。
死因は様々だが、これだけははっきりしていた。
彼女を失い私が悲しみに明け暮れながら眠りに落ちると、次に目が覚めたとき、私の身体は8歳のそれへと移り変わっている。
以下略



150:はかせの愛したなの 後編 2/14[saga]
2012/12/13(木) 02:44:43.61 ID:Kxp/NaJyo
そして。
――私は、何度繰り返しても彼女を救えないということ。

彼女が死ぬ日が分かっているというのに、何度繰り返しても、彼女を救うことができなかった。

以下略



151:はかせの愛したなの 後編 3/14[saga]
2012/12/13(木) 02:45:25.00 ID:Kxp/NaJyo
私は、繰り返す時間の中で、色々なことを試した。

その中でも一番時間を使ったのは、彼女を救うために自分の知識を高め、ひたすら頭脳を強化することだ。
無限とも思える時間を利用し、多くの分野で勉強、研究、実験を重ねた。

以下略



152:はかせの愛したなの 後編 4/14[saga]
2012/12/13(木) 02:46:12.64 ID:Kxp/NaJyo
ただ、そんな私も、とある分野の技術には心からの興味を持った。

ロボット工学。
それも、より人間に近いロボットを作り出すことに、強く心惹かれた。

以下略



153:はかせの愛したなの 後編 5/14[saga]
2012/12/13(木) 02:46:46.96 ID:Kxp/NaJyo
もう、何度繰り返したのか分からない。
数えるのも面倒になって、記録することもやめ、それから通算何年経ったのだろう。
まだ100年や200年だけのような気もするし、10000年経っているのかもしれない。
彼女が死んでも、もう涙も流れなくなった。

以下略



154:はかせの愛したなの 後編 6/14[saga]
2012/12/13(木) 02:47:20.90 ID:Kxp/NaJyo
「なに、難しい顔をしているんですか?」
「……ううん、なんでもない。なんでもないよ」
「そうですか。なんだかよく分かりませんけど、とてもつらそうに見えたので」

「ねえ。もし、もしもだよ? 自分が明日、死ぬってわかってたら、どうしたい?」
以下略



155:はかせの愛したなの 後編 7/14[saga]
2012/12/13(木) 02:47:54.88 ID:Kxp/NaJyo
二人で駆け出して、私は笑った。
彼女も笑った。
そんな彼女の笑顔を、心に刻み込むように。

私は、精一杯、一緒に笑った。


156:はかせの愛したなの 後編 8/14[saga]
2012/12/13(木) 02:48:24.60 ID:Kxp/NaJyo
次の日、彼女は最初と同じように、トラックにはねられた。
小さい子をかばうようにして、彼女が轢かれた。

彼女らしいと思った。

以下略



157:はかせの愛したなの 後編 9/14[saga]
2012/12/13(木) 02:49:06.69 ID:Kxp/NaJyo
そして、再び8年の時をさかのぼり。
私は、すぐに準備に取りかかる。

世界中の大企業を駆け巡り、技術提供と引き替えに一瞬で莫大な資金を集めた。
見た目が8歳でも、他の誰もが実現不可能な技術を携え、なんとか自らの研究所を群馬県のとある町に用意した。
以下略



158:はかせの愛したなの 後編 10/14[saga]
2012/12/13(木) 02:49:41.51 ID:Kxp/NaJyo
「はかせー、いい加減背中のネジとってくださいよ〜」
「ダメです」
「うぅー、なんでそんなに頑ななんですかぁ〜」
「ダメったらダメなんです」

以下略



159:はかせの愛したなの 後編 11/14[saga]
2012/12/13(木) 02:50:14.18 ID:Kxp/NaJyo
それでも。

なのを見るたびに。
なのと笑うたびに。
なのの作ったご飯を食べるたびに。
以下略



160:はかせの愛したなの 後編 12/14[saga]
2012/12/13(木) 02:50:54.84 ID:Kxp/NaJyo
なのは、この町の高校に転入した。
仲の良い友達もできたようだ。

ゆっこは私と一緒におもしろい遊びをしてくれるし。
みおはちょっと変なマンガで笑わせてくれるし。
以下略



161:はかせの愛したなの 後編 13/14[saga]
2012/12/13(木) 02:51:28.01 ID:Kxp/NaJyo
今から8年後、彼女は16歳になり、今のなのと姿がそっくりの女子高生に成長するだろう。
そうなったら問題が起こるかも知れないし、これからなのを少しずつ改造して、ゆっくり成長させていくつもりだ。

私の大切な友達であった彼女。
私の大切な家族になったなの。
以下略



162:はかせの愛したなの 後編 14/14[saga]
2012/12/13(木) 02:52:56.07 ID:Kxp/NaJyo
…………そういえば。
たくさん時間はあったけど、そのほとんどは理学系の勉強に費やしたし、ちょっと文学方面に興味が出てきた。
ノーベル賞もいいけど、今欲しい物といったら。

「それじゃあはかせ、阪本さん、行ってきます!」
以下略



163: ◆1g8i..4pHg[saga]
2012/12/13(木) 02:57:13.93 ID:Kxp/NaJyo
以上になります。


まず、このような稚拙な作品に長い(本当に長い)間お付き合いいただき、ありがとうございました。
仕事とはいえ、投稿と投稿の間をえらい長い時間開けてしまい、みなさんにもだいぶ迷惑をかけました。
以下略



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2012/12/13(木) 11:11:56.46 ID:/ZU1qmq+o

ちょっと泣きそうになった


165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/12/13(木) 15:17:18.89 ID:3Hk0KEcvo
超GJ
最後まで書き切ってくれると信じてた

すごい切ない話だけど、ただ悲しいだけだったり、単純なバッドエンドじゃないってところが素晴らしい。
あと、はかせが意地でもなののネジを外さないとか、芥川賞欲しがってるとか、原作の要素もうまく盛り込んでるのに感心した。


166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[aga]
2012/12/14(金) 08:18:40.99 ID:utrpDzXLo
お疲れ様でした
良作をありがとう


167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[age]
2012/12/16(日) 16:32:52.17 ID:01FcLjJFo
まどマギのときも思ったけど、時間を永遠と繰り返すって想像を絶する苦痛があるんだろうな
なんにせよ乙


168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/12/26(水) 10:58:19.21 ID:z0toIiA30
>>1乙!!
久々に良作を見た


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