過去ログ - インデックス「当方に迎撃の用意あり」
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42:当方に迎撃の用意なし[saga]
2012/03/20(火) 21:30:45.36 ID:tIbuw6lR0

「――――ここから先は、一方的に捧げるには重すぎる十字架だね。いつか君を上条当麻から奪えたのなら、その時告げることにするかな」


かち合う視線の角度が、再び上下逆転した。
つい先ほどまで真摯に己を見上げてきた紅い瞳は、すくと立ち上がった巨体のてっぺんからこちらを見下ろしている。
ただその色が、温度が、うって変わって途方もなく優しいものに見えてしまって、インデックスはわれ知らず目を伏せていた。


「では、今日のところは失礼するよ」


言われて、慌てて壁時計に目線をやった。
上条が退出してから、十分どころか五分も経っていない。
信じられないほど長い五分だった、とインデックスはぼんやり思った。

その間にもステイルは、未練は一切ないとばかりに、躊躇なくインデックスに背を向けて帰り支度を整えている。
あれよあれよという間に彼は玄関のドアノブに手を掛けていた。


「僕は急がない。待つのは慣れているからね。僕を突っぱねるのか、“候補”の末席にでも加えてくれるのか。君の思うまま、後悔のないように選択してくれ」


最後の瞬間までステイルは、なんやかんやと言いながらインデックスの意思を尊重する言葉を残した。
その態度が逆にずるい、とそう思わせた。

あたたかい慮りと優しさを覗かされて、インデックスという少女がほだされないはずがない。
ステイルは自分のそんな性質を承知の上で、自分を迷わせる言葉を選んでいたのではないか。
相手の自由意思を尊重する精神というものは往々にして、下手な強制よりも相手の思考を制限するものである。



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