過去ログ - とある後日の幻想創話(イマジンストーリー)
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423: ◆jPpg5.obl6[sage saga]
2012/08/05(日) 22:29:51.54 ID:pQXo9UG60

能力を手に入れて初期の頃、自分が見た未来を変えることが出来ないか試したことがある。
その時自分が見た未来とは、自分の友人が帰りに車に轢かれて病院に運び込まれるというもの。
その未来を回避するべく、友人に普段とは違う道を辿って帰宅するよう注意を促した。

このまま何もせずにいたら友人はいつもの帰り道を通って事故に巻き込まれてしまう。
ならば別の道を通るようにすればそのようなことは起こらないのではないか。
交通事故が起こるはずの道路を通らなければ、そういった出来事には遭遇しないと考えたからである。

だが、その未来を回避することは叶わなかった。
翌日自分の友人が交通事故に遭って病院に運び込まれたということを聞かされて彼女は驚愕した。
彼女が驚愕した理由は、何も注意を促したにも係わらず友人が事故に巻き込まれたからというだけではない。
もし単に事故に巻き込まれたというのなら、不幸に不幸が重なった結果だと思ったであろう。
しかし友人を轢いた車は『自分が見た未来に出てきた車と全く同じ』だったのだ。

話を聞く所によると、運転手はその日に限って『たまたま』いつものルートを通ることはせずに、
友人が通っているルートを『偶然』選択したらしい。
このようなことが果たして本当に起こりえるのだろうか?

その後も未来を見るたびにそれを回避しようと行動したが、いずれも失敗に終わることになった。
どのような手段をとっても、まるでその行動を嘲笑うかのように必ず予知で見た出来事が起こるのだ。
十回ほど未来を変えることに失敗した彼女は、とうとう自分の力の本質を確信したのである。

自分が見た未来は変えることは出来ない。
たとえどんな方法を用いたとしても、まるで鎖に引きずられるかのようにその結末に引き寄せられてしまう。
それこそ、その出来事の当事者となる人間が巻き込まれる前に死にでもしない限り、阻止することは不可能だろう。

それを知った彼女は、たとえ他人の破滅の未来を見たとしても傍観に徹することにした。
無駄だと判りきっている行動を続けることほど愚かなものはない。それどころかその不幸に巻き込まれることもあり得る。
だからこそ今回も、多少心残りがあるとしてもただの観測者であろうとしたのだ。




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