過去ログ - ペルソナっぽい悪魔設定のシェアワでお話を書いてみたい人集まれ
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]
2012/05/14(月) 01:10:17.63 ID:ZeyKWid5o
カフェで彼のこれまでの話を聞く。
彼は当然のように乗り気では無かったが、こちらから聞けばポツポツと返事をよこした。
そんなやりとりをしながら、私は少しづつあの事件を思い出す。
端的に言えば、ただの火事だった。街の外れに立っていた一つの家屋が燃えたのだ。
発見も対応も遅れ、結果ほぼ全焼。住人のほぼ全員が焼けて死んた。
その中で唯一生き残ったのがアンディだった。折り重なる死体の一番下にいた為に助かった。
それだけ見れば子供を愛する家族の献身によって奇跡的に助かった美談に思えるだろう。
事実、彼は愛されていた。但し狂人達から病的に。
詳しくはわからない。要領を得ないアンディの話と、その様子から窺うことしか出来ない。
ゆえにこの話は推測であるのだが、ようは彼の同居人達は潔癖であったようだ。
この世の全ての穢れからアンディを遠ざけようとした。穢れとはアンディ以外のこの世の全てを指した。
ゆえにアンディは火事が起こるまでその同居人ら以外と会ったことが無かった。
肉を嫌い野菜を嫌い水を嫌い空気すら嫌い、大地と空でさえも嫌う。何故ならそれらは穢れだと教わってきたから。
彼の世界には彼しかいない。ゆえに意志が無く空虚でしか無く、同居人らから伝わった狂った意図しか無かった。
彼らから離れてもアンディは全てを嫌った。
不幸中の幸いは、同居人らが人間に関しては深く教えていなかったことだ。
誰とも会わせなかった辺り人間も穢れだと思っていたのだろうが、自分達が拒まれるのを嫌ったのだろう。
彼は全てを嫌悪しながらも私の言うことはある程度聞いた。死なない程度には飲み食いもした。
それでも、彼の瞳が人間らしい意志を宿すことも、活気を伴うことも無かった。
私はそれを悲しく思ったが、そこまで悲観的になってもいなかった。
彼は狂人に育てられた子供で、およそ人間らしいとは言えなかったかもしれない。だが、それでも彼は命ある人間だ。
彼は自殺を望まなかった。それが例え歪んだ思想によるものだとしても、生きている限りは人だ。
人が人である限り、きっといつか彼が人間らしく笑える日が来る。きっとその呪いは解ける、少なくとも可能性は潰えない。
そう信じていたからだ。
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