過去ログ - ペルソナっぽい悪魔設定のシェアワでお話を書いてみたい人集まれ
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183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/14(月) 21:24:31.55 ID:FCEbJPeuo

 屋敷の正面の扉には鍵が掛かっていなかった。
 不用心、と思い浮かべて取り消す。単に防犯の必要性がないということだろう。
 こんな辺鄙なところまでわざわざ物取りにやってくる輩は、ゼロではないにしろ極めて珍しいはずだった。
 また、悪魔憑きである以上、乱闘になったとして人間に後れをとることもないという判断なのだろうとも想像できた。

 屋敷の中は酷く暗かった。開け放った正面扉から差し込む月光以外に光はない。強化された眼でも暗闇を見通すことはできなかった。
「なら火をやるよクソアマ」
 ぽっ、と闇に明かりが浮かび上がった。小さいが、悪魔憑きたちにとっては十分の光量だ。
 そこにいたのは、見たところどこも変わったところのない普通の男だった。

 いや、かなり端正な顔立ちをしてはいる。
 サラのくすんだ色とは異なる、輝く金の短髪。
 彫りの深い顔立ちと尖った鼻。ブルーに輝く瞳。
 着ているシャツとスラックスもかなり上等なものに見えた。

 サラがどこも変わったことがないと思ったのは、"悪魔憑きにしては"ということだった。
 想像していたような脅威的なプレッシャーもなければ威厳もない。
 加えて若い。見た目だけだろうが、二十代の後半程度にしか見えない。

「思っていたほどではない。そんなところか? 考えているのは」
「……」
 男の皮肉げな口調に、しかしサラは返事をしなかった。男は気にしなかったようだったが。
「まあ、仕方ねえよな、こんな見た目だしな。年齢はとうに百なんざ通り過ぎたけどよ」 
 だが、と男は続けた。
「テメエも思ったほど大した奴じゃなさそうだな」
「まあね」

 男が舌打ちする。
「ケニーはこんな小物にやられちまったのか?」
「ケニー?」
 サラが訊き返すと、男は不機嫌そうに声を荒げた。
「お前が殺した奴だよ。殺したよな?」
「あの女なら表のトラックの中で死んでるわ」
「よく言うぜ。テメエで殺したくせによ」



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