過去ログ - ペルソナっぽい悪魔設定のシェアワでお話を書いてみたい人集まれ
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184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/14(月) 21:25:24.76 ID:FCEbJPeuo

 サラは一旦男を無視して視線を周囲に振った。
 その空間は広い。中二階から左右に蛇行して伸びる階段と、正面には奥へ続く通路の入口が開いていた。
 心もちがらんとしている。生活のにおいがしない。
 申し訳程度に二体の西洋鎧が剣を携えて、彼女のそばに立っていた。

「ガキは嫌いだ。分別ってものがねえ」
 言う割には男の口調からも粗暴なにおいがする。
「まあ、トラックを運んでくれたことには礼を言う。あれにはこれから一ヶ月分の食料その他もろもろが積まれてるんだ」
「気にしないで。わたしもここまでの足が欲しかったから」
「だが」
 男が言葉を挟み、その眼光が鋭さを増す。
「俺の大事な召使いを駄目にしちまったのは許せねえな」

 しかしサラはそれにひるまなかった。
「ごめんなさいね。彼女、聞き分けが悪くて」
「そうか。そりゃ躾がなっていなかったかもな」
「わたし、あなたに訊きたいことがあってきたの」
 サラはそう話の向きを変えると、一歩だけ、踏み出した。
「悪魔に捧げてしまったものは、どうしたら取り戻せる?」
「無理だ」
 男は少しの間も挟まずに答えた。

「……」
「当たり前だろうよ。流行りの通販じゃねえんだ。クーリングオフ制度なんざないし、あったところでとっくに期限は切れてるだろ馬鹿」
「……そうね」
 サラは、ゆっくりとため息をついた。
 予想していなかったわけではない。それでも心の底にじわりと痛みが広がった。



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