過去ログ - 結標「貴女なんて」白井「大嫌いですの」
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[saga]
2012/03/25(日) 15:58:42.92 ID:twYxcOcAO
〜5〜
固法『白井さん、今日も当直でいいの?』
白井『ですの。前に初春に代わってもらった事がありますので』
固法『……それは構わないんだけど、今日でもう三連勤になるわ。あまり根を詰めるのも考え物よ?』
それからと言うもの、わたくしは当直の回数を増やしてお姉様から距離を置くようになりましたの。
誰かが言っておりましたが、人間誰しも失恋を経験すると大凡3パターンに分けられるそうですの。
気が済むまで泣き明かすか、気が晴れるまで飲み明かすか、はたまた仕事に打ち込むかの何れかに。
涙に溺れるほど乙女でもなく、お酒に溺れるほど大人でもないわたくしは仕事に逃げ込む質らしく。
固法『んっ……何か怪しい車が集まって来てるわね?』
風紀委員一七七支部のモニターに映し出された白い雪と黒い影に固法先輩が気が付き、わたくしもそちらを覗き込みましたの。
白井『――――ここは…………』
『その場所』はわたくしにとっても些か思い出深い路地裏の出入り口でしたの。
ニガヨモギから蒸留されたアブサンのように、強い苦味を伴った忌々しい記憶。
今思えば、わたくしもこの時アブサンの副作用に当てられていたようですわね。
固法『最近“書庫”にも載っていない犯罪者も増えている事だし……』
白井『………………』
固法『白井さん、念の為に警備員に連絡を入れて――白井さん!!?』
ニガヨモギに含まれる『ツヨン』と言う成分がもたらす副作用。『意思薄弱』『視力低下』、そして『失明』。
盲た眼差しのまま脇目も振らず、遮眼革を取り付けられた暴れ馬のようにわたくしは支部を飛び出しましたの。
外側より呼び掛ける固法先輩の声から、内側より呼び止める自らの声から逃げるように振り切って駆け出して。
白井『がはっ……』
4、5人倒したところでその中の一人が隠し持っていたパームピストルで撃ち抜かれわたくしは倒れましたの。
学園都市の影に住むスキルアウトではまず手に出来ない、学園都市の闇に棲む暗部(なにもの)かの『牙』に。
自分の能力と自身の血潮に溺れ、手中に収まるサイズの暗器を見落としていたわたくしの未熟さが原因ですの。
新入生A『悪く思うなよ、風紀委員さん』
――――この、己さえ見失った愚かなわたくしの――――
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