過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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292: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/06/11(月) 02:29:14.15 ID:tOv9yjbAo

 直後、さやかは密かに肩を落とした。
 長い付き合い故に知っている。彼は、この手の台詞をごく自然に、しれっと言ってのけるのだ。
 つまり、深い意味はない。

 いつからだろう。そんな言葉に期待してしまうようになったのは。
 その真実に気付いて落胆するようになったのは。
 彼の言葉や仕草に一喜一憂し、その度に馬鹿だと呆れる。
 だが、さやかは慣れているだけあって立ち直りも早かった。軽い溜息ひとつで気分を切り替える。

「あんまり時間もないから手短に。はい、これ。恭介が前に言ってたやつね」

 鞄から一枚のCDを取り出すと、ベッドの上に置いた。クラシックのアルバムである。
本当は他にもあったのだが、昨日は結局買いそびれてしまったので、これ一枚だ。

「うわぁ、ありがとう。これ聴きたかったんだよ」

 喜ぶ恭介をさやかは見ていた。
 湧き上がる気持ちの正体は、自分でもはっきりしない。
ただ、誇らしく微笑ましいような、それでいて悔しくもあり切なくもあるような――清濁混じり合った感情。
 確かなことは、恭介が嬉々としてCDを開く様は、さやかが訪ねてきた時よりも遥かに嬉しそうだった。
 
「じゃあ、帰るね」

 それを悟られまいと、さやかは立ち上がり、早々に帰ろうとするが、

「あ、待ってよ。せっかくだから少しだけ話していかないか?」

 呼び止められて振り向いた顔は微かに笑っていた。
 自分自身、本心では引き止められたかったことを否定できない。
 軽い足取りでイスに座り直す。




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