過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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38: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2012/04/02(月) 00:32:33.94 ID:qak/jpDJo

 また堂々巡りに迷い込みそうな思索を断ち切って、マミは顔を上げた。
 鎧を送還すれば、斬馬剣も消える。
ならば今の内にと、投げられた時そうしたように、マミはリボンを柄に結び、ロープ代わりに身体を降下させる。
 今の身体に飛び降りの衝撃は辛く、だからといって鋼牙の手も借りたくなかった。

 マミが危なげなく着地したことを確認すると、ガロは鎧を送還する。
黄金の鎧と轟天が、鋼牙から抜けるように掻き消えた。
細身の剣に戻った魔戒剣が零れ落ち、地に突き立つ。

 傷ひとつなく平然としている鋼牙。ボロボロで今にも崩れ落ちる寸前のマミ。
 両者はどこまでも対照的で、決して埋まらない溝があるようにマミには思えた。
鎧という特性があったにせよ、何故こうまで違うのかと。それを認めた瞬間、酷く惨めな気分に苛まれる。

 マミは覚束ない足取りで、一歩ごとに左右に頼りなく揺れながら、なおも進む。向かう先は二人の後輩が待つ出口。
彼女たちには、これ以上の醜態を晒したくなかった。せめて二人の前でだけは頼れるかっこいい先輩でありたかった。
 歩み寄って身体を支えようとした鋼牙を睨み、手を振り払ったも、その為。

「大丈夫です……構わないでください。少し休めば治りますから……」

 そうとも、少し休めば治る。常人なら明らかに潰れている衝撃でも、失血死する出血でも生きているのだから。
昨夜もそうであったように。
 考えてみれば、今まで気付かなかったのがおかしい。
これまでも助からないような怪我、状況でも何とか生き延びてきた。切り抜けてきた。
それは自分の幸運故だと思っていた。いや、思い込もうとしてきた。 

――でも違った。当たり前よね。とっくに人間じゃなかったんだもの……。

 唇を歪め、自嘲した。
 崩壊を始めていた結界はマミが歩いている間に完全に消滅して、今は暗い廃ビルの開けた空間に戻っている。
さやかとまどかを隔離していたバリアは消え、高低差もなくなった。




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