過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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◆ySV3bQLdI.
[ saga]
2012/12/20(木) 03:12:00.82 ID:P2uWvMw9o
手のひらを魔戒剣が貫いたように、柔らかい部分は刃も通る。
モロクは弱点を避け、器用に双剣をさばいていたのだが。
打ち合っているうちにゼロは既に癖を見抜き、後は機を見て対応するだけだった。
そして今が、そのチャンス。
切先が触れるか触れないかの刹那。
軌道を変えた双剣は、同時に左右の指の股を切り裂き――。
四つに割れた腕が床に落ちた。
杏子の動きを遅れて察したモロクは、前後に気を配る必要に迫られた。
逃げるべきか、守るべきか、それとも反撃か。
だが、どこに? どちらを?
思考はパンク状態に追い込まれただろう。一瞬の選択が生死を分ける。
ふたつの腕を使い分ければ、不可能ではなかったかもしれない。
そこへ襲い来る衝撃。繋がっていない腕から伝わる激痛。
両腕を失い、とうとうモロクは選択できず、動くこともできなかった。
直後。
モロクの胸部から槍が突き出す。
確実に致命傷。
誰が見ても同じ感想を抱くだろう。
しかし、モロクは立っていた。
胸を貫いた槍を抜きもせず、ゆっくりと振り向く。
息も絶え絶え、発条の切れた人形のように。
崩れ落ちる杏子に、憎悪に染まった視線を向けるモロクは、
もうひとりの敵を存在ごと忘れ去っているかのようだった。
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