過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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926: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/01/01(火) 01:35:02.67 ID:z0lL6wd5o



 幸い周囲に人の姿はなく、目撃される心配はなかった。
 
 しかし、女と死体となった男以外に、ずっと一部始終を眺めていた者がいる。 
 そこにいるのに、そこにいない観測者。
 舞台と客席のように、隔たれた関係。
 
 問えるものなら問いたかったが、感覚だけが切り離された状態では干渉できない。
故に、考えるしかなかった。
 女は、どの時点で壊れたのだろうか、と。

 最も大きいと考えられるのは、男を突き落とした瞬間だろう。
 もっと前、男が事故に遭った時からかもしれない。
 それとも、説得を拒絶された時?
 或いは――罪と恐怖から逃れようとする浅ましい自分自身に失望したからか。
 
 男の死に際の眼差しが脳裏に焼きついて離れない。
 その場にいない観劇者は、これまで光景を俯瞰的に観ていたが、この時は別だった。
映画のカメラのように視点が動き、女と重なった。
 女が味わった恐怖を、絶望を、より強烈に、効果的に、彼女に刻み込むかのように。
 




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