過去ログ - さやか「黄金の……狼……」 牙狼―GARO―魔法少女篇 第二夜
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986: ◆ySV3bQLdI.[ saga]
2013/02/08(金) 23:54:16.20 ID:f2GR6sIZo

*

 頬に柔らかい感触と、微かな刺激。
 誰かの呼ぶ声が聞こえる。
 
「……ちゃん。起きろよ、あんこちゃん」

「うぅ……ん」

 唸りながら身を捩る。
 長い夢を見ていた。
 ずっと暗くて深い場所にいた。例えるなら、底なし沼でもがいていたような。
 そのせいか、酷く頭が重い。なかなか目を開く気になれなくて、聞き流していた。

 それでも声は止むことはなく、頬が柔らかく叩かれる。
そうこうしている間に、ゆっくりとだが五感が蘇ってきた。
 観念して薄らと目を開くと、そこには。

 笑顔。
 これは誰だったろう。輪郭がぼやけて判然としない。
でも、何故か心が安らぐのを感じた。
 自分に向けられる微笑みが、今はこんなにも温かい。

 やがて目の焦点が合い、杏子は数秒遅れて人物を認識する。

「お目覚めですか、お姫様」

 気取った口調で戯言を吐き、恭しく頭を垂れた男。
 その顔は忘れもしない。杏子が今、最も嫌っている相手。
 魔戒騎士、涼邑零。



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