10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2012/03/28(水) 06:20:59.46 ID:2GPEYJFx0
お姉さん「ねえ、上条君」
上条「はい」
お姉さん「話は大体分かった。……けれど、君は大事なことをね、二つ、見失っているよ」
上条「……二つ?」
お姉さん「まずはね……君は、無限の可能性を秘めていること。君にとって、ヴァイオリンは何?」
上条「……強いて言うならば、僕の人生、ですかね。幼いころから、ずっと共にしてきました。ヴァイオリンと一緒にいる時、僕は初めて上条恭介になる、そう思って、今まで弾いてきた……ですけど、今はそれを失ってしまった」
お姉さん「……じゃあ、今の上条君って、何?」
上条「今の? ……分かりません」
お姉さん「そう、分からないんだ。自分が将来、どうなるか、自分は一体、どんな存在なのか……分からないのが当たり前なの。だからね、君の人生はヴァイオリンなんかじゃない。君自身なんだよ」
上条「でも、僕からヴァイオリンを取ったら、僕は何にも……」
お姉さん「ううん、それは違うよ。今の君は、君と言う存在から、ヴァイオリンが見えなくなったような感じ。でも、君の中には、ヴァイオリンじゃない、けど、すごく輝いているものが絶対にあるはずなんだよ」
上条「ヴァイオリン、以外にですか?」
お姉さん「そう。もしかしたら、ヴァイオリン以上に輝いているかもしれない。たとえば、音楽に関わるって言っても、ヴァイオリンだけじゃないよね? 作曲家だったり、作詞家だったり、指揮者だったり……音楽だけじゃなくてもいいんだよ? 手が使えないなら脚があるし、口もあるし、何より頭がある。そして、君は優しい。君の雰囲気だったり、言葉だったりで、私はそう感じた。そこのお嬢さんもね」
さやか「あ、その……ありがとうございます」
上条「……でも、僕は、割りきれません。今まで自分のほとんでだったヴァイオリンがなくなったとたん、何か、ポカンと穴が開いたような気がして、それが怖くて……」
お姉さん「今は……それでもいいと思うよ?」
上条「?」
お姉さん「焦らなくていいんだよ。君にはいーっぱい時間がある。それに、支えてくれる優しい友達も、ね?」
さやか「え! あっ、その……ええ! 恭介の面倒はしっかり見ますよ! だから……少しは、甘えてもいいんだよ? あれがしたいこれがしたいって、私はそれを全力で手伝うから」
上条「さやか……」
お姉さん「上条君の可能性は決してゼロなんかじゃない。君だけの輝いている何かを見つけて欲しいなって!」
上条「お姉さん……ありがとうございました。何だか、これからへの希望が持てたような気がします!」
お姉さん「うん……それじゃあ、元気でね! あ、後……」
さやか「?」
お姉さん「上条君、少し鈍いようだから、諦めずがんばって! あなたと彼、お似合いだから」ボソッ
さやか「ひゃああ!? え、あ、あ、そ、その!?」
お姉さん「またねっ」ニコッ
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