過去ログ - 黒井社長「行くぞっ!!青二才っ!!」(アイマスSS)
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2012/03/29(木) 13:10:24.64 ID:lnWJ8GSr0
「こんにちわツキコちゃん。おじちゃんは四条ゆうねん。よろしゅうな」

「あお……こわいよぅ……」

あれ?ツキコは人見知りなので初対面の人相手には恥ずかしがって上手く話せないことがあるが、怖がることなんて無かったんだけどな。
ツキコの顔を見ると、その目線は御当主ではなく、御当主の背後の斜め上のあたりを見てぶるぶる震えている。

「おおきい『おばけ』がごにんいるよぅ……たべられちゃうよぅ……」

やがて今にも泣きだしそうな声で、ツキコは俺の腕にしがみついてきた。……ナニヲイッテルンダツキコ……?ソンナノイナイジャナイカ………

「へぇ……ツキコちゃんには『こいつら』が見えるんかぁ〜、こりゃあ大したもんやなぁ」

御当主は目を見開いて驚くと、後ろを振り返り顔を上げた。まるで自分よりはるかに背の高い相手を見上げているような……

「おい『おどれら』、ツキコちゃんが怖がっとるからちょっと下がっとれ。まで外で待機じゃ」

「あ、『おばけ』いなくなった」

…………ジョウダンダヨナ…………?ツキコモゴトウシュモ、ドッキリカメラデモヤッテルンダヨナ…………?

「ん?あおはんはおばけとか幽霊とかあかんひとですか?まあさっきのはわしの護衛の鬼の式神やから、ちょっと違いますけど」

「へ、へぇ〜、そうなんですかぁ〜〜いやぁ僕には全然見えなかったなあ〜〜ああ残念だなぁ〜〜ハハハ…………」

精一杯強がってみる。そうだ俺は怖くない怖くない怖くない怖くない…………

「何なら後で見せましょか?術の加減を調整したらあおはんにも「い、いえいえいえいえ!!結構ですっ!!結構ですからっ!!それよりツキコはど
 うですかっ!!」

「ああそうそう、ツキコちゃんね……」

御当主は再びツキコの方へ向き直る。ツキコは依然として御当主を警戒していて、俺の背中に隠れている。

「ありゃりゃ、嫌われてもうたかなあ」

「いえいえ、怖がっているんですよ(俺も超怖いです)。元々人見知りな所がある子なので」

「そうかぁ。そんじゃあ、こういうのはどうやろか?」

そういうと御当主は鞄から綺麗な色紙を何枚か取り出し、手早く折っていく。やがてそれは5匹の蝶になった。

「ツキコちゃん、よう見ときやぁ……」

「……?」

御当主は手の上の蝶にふっと息を吹きかけると、蝶達はふわっと一瞬宙に浮かび、そのままはねをぱたぱたと動かして病室内を自由に飛び回った。

「わぁっ!すごい!」

ぱたぱたと飛び回る色紙の蝶を見て、ツキコは歓喜の声をあげた。嬉しそうに蝶を目で追うツキコを見て、御当主もニコニコしていた。
その時俺は思った。四条の御当主になら、ツキコを安心して任せられると。この『ツキコ』は消えてしまうが、御当主ならツキコに素晴らしい人
格を与えて大事に面倒を見てくれるだろう。普通の女の子どころかまた大きなお屋敷のお姫様になってしまうが、御当主だったら権力者達のしが
らみからもツキコを守ってくれるに違いない。後は御当主がツキコを受け入れてくれるかだが、ツキコには思わぬ素養があったようで、おそらく
御当主も気に入ってくれただろう。それを抜きにしてもツキコと接して、その人となりを知ると、誰もが彼女を好きになると自信を持って断言で
きるが。

ツキコは蝶を見て楽しそうだ。何とか腕を動かしてつかまえようとするが、うまくいかない。御当主は新しい色紙を取り出して、せっせと蝶の追
加生産に勤しんでいた。……こりゃあ早くボス戻って来てくれないと、病室が蝶だらけになってしまうぞ。

それから少しして戻って来たボスは、御当主とツキコについての今後の話をして、次の日には俺とボスと3人で京都へ向かった。御当主の頑張り
もあって、ツキコは御当主を『蝶のおじさん』と呼んで心を開き、四条の御屋敷に嬉々として入った。しかし俺とボスがツキコを置いて帰ること
を知ると、ひどく泣き喚いた。




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