過去ログ - 黒井社長「行くぞっ!!青二才っ!!」(アイマスSS)
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56:1 ◆6aY2CdF7PY
2012/03/29(木) 21:26:53.26 ID:lnWJ8GSr0
女性は注文のカクテルに少し口をつけてから、話をした。

「彼女とにかく不真面目なんですよ。気概もなければ熱意もないというか、気分にムラがありすぎてとにかくいい加減なんです。ドタキャンは
 日常茶飯事だし、面接をしても途中で寝てしまったり、オーディションの途中で帰ったり……ダンスが気に入らなかったら踊らないし、歌が
 気に入らなかったら歌わない。そういう話は沢山あります」

「ハハハッ、それは確かに問題児だ。才能があっても、事務所もそんなリスク負いたくないから怖くて雇えないな」

「実際に接したスカウトマンや面接担当者の話では、素直で悪い子ではないそうなんですが……彼女は才能が有りすぎるから、全てが簡単すぎて
 面白くないんでしょうね。それにどれだけ適当でいい加減なことしたって、スカウトは絶え間なく来るし……。大人達にちやほやされてすっかり
 傲慢でワガママになっちゃったそうです」

「フンッ、自分で扱えるだけの器もないくせに無責任に手を出しよって。この子も哀れなものだ。これは誰かが灸を据えてやる必要があるな」

黒づくめの男は代金をカウンターに置くと、その少女の書類を持って席を立った。出口に向かって少し歩いた後、立ち止まって振り返らずに
声をかける。

「高木……私もあまり詳しくないのだが、この子はおそらく『太陽の子』だ。いいのか?こんな逸材を譲ってしまって」

「ウチは既に定員オーバーだよ。少し惜しい気もするが、私はウチの子を守らなければならないからね。それに……」

好々爺は酒を少し飲んで、初めて挑戦的な、不敵な笑みを浮かべた。

「お前がもしその子を獲得しても、ウチの子達だって負けないさ。太陽だか何だか知らんが、宇宙人じゃないんだろう?この世界は才能だけじゃ
 通用しないのは、お前だって十分に分かっている筈だ」

「フンッ、言ってろ。後で吠え面かくなよ。……では小鳥、またな」

「はい。黒井社長もお体に気をつけて」

黒づくめの男は、今度はそのまま振り返らずに店を出た。


***


「誰と会っていたのですか?」

社長に呼ばれて車で迎えに来た場所は、以前酒を奢ってもらったバーだった。社長のプライベートは秘書の俺でも謎だが、どうやらここは
行きつけらしい。

「何、旧い知り合いだ。そういえば女も居たな。どうだ羨ましいか?」

「今は貴音と響の面倒を見るので精一杯ですよ。あの子達がどんどん成長するもんだから、こっちもスケジュール管理が大変ですよ」

961プロが発足してから一ヶ月。貴音と響はアイドル候補生として、日々レッスンに励んでいた。こちらの想像以上にふたりの能力は高く、
アイドルとしてのデビューを大幅に前倒しにするほどだった。この調子でいくと春には間に合いそうだ。最初はオーディションを開いて所属
アイドルを集めて育成しようという話だったが、急遽このふたりの育成に集中して、先にデビューさせることにした。

で、俺は何をしているかと言うと、このふたりのマネージャーとして体調やスケジュール管理をしている。アイドルの仕事なんて全く分からない
ので、プロデュースや活動方針は社内の専門家に任せている。爆弾で床を沈めたり、ナイフ片手に忍者共と戦っていた頃が懐かしいぜ。


〜以下は、今日の昼食時の回想である〜


「うぇ〜また鶏のささみなのか……豚足が食べたいぞ……」

「我侭を言うのではありません響。一人前のあいどるになる為のしばしの辛抱です」

「そういう貴音だってレバーよけてるじゃないか。ちゃんと食べないとダメだぞ」

「こ、このような面妖な食べ物口にすることは出来ません……!貴方様、どうかお許しいただけないでしょうか……」

「ああもう、ワガママ言うなお前ら。響は少し筋肉を落として、女性らしい肉体に作りえる必要があるらしいから豚肉はもう少し我慢だ。
 貴音は鉄分をもっと摂らないと、またダンスの最中に貧血で倒れるぞ。好き嫌いせずにさっさと食べろ」

「うう、何という仕打ち……貴方様はいけずです……」

「……ああもう分かったよっ!!半分こっちに寄越せっ!!後で倒れても知らないからなっ!!」

だいぶ慣れてきたとはいえ、相変わらず貴音の扱いには苦労する。




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