525:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/11/04(月) 16:46:28.34 ID:oSVf7ZO3o
「君が先程からこちらに説明している魔力特異点現象について、具体的な
危険性を教えてくれ」
「それほど難しい理屈じゃない。魔力が一ヶ所に特定水準以上収束された
場合、純化しすぎた魔力の持つ浸食力によって存在固定されていた物質や
空間が『それ以前の要素』との平衡状態になり、莫大な量の魔力を周辺に
放出しながら連鎖自壊する特異点が発生する」
「つまり」
「放置したら世界そのものが消滅する」
「荒唐無稽すぎて信用できん。その場合世界が滅ぶまでの所要時間は」
「特異点が直径1メートルに成長するまでは、周辺の物資量にもよるけど
おそらく48時間。直径が1メートルを超えた瞬間、特異点の膨張速度は音速を突破する」
「音速?」
「……火薬式の先込銃の弾丸と同じくらいの早さで物質と空間が崩壊する
エリアが生まれる。基本的に質量や魔術由来のエネルギーをぶち込んでも
特異点拡大を食い止めるのが精一杯で、要するに特異点周辺の広範囲の
魔力を枯渇させるのが唯一の方法」
これが計算式だと、紙片を取り出しアイザックは青年実業家に突きつける。
錬金術の素人でも分かるようにと緑の恐竜と赤い雪男のマンガ付で説明された
それは、そのまま出版社に持ち込める水準だった。
「詳しくはここに」
「わかった、内容はさっぱりだが当社の福利厚生部門である巡回牧師用の
紙芝居作家としてスカウトしようじゃないか」
暗黒神崇拝者とは別方面の社会的地位よりアイザックの才能を見抜いた実業家は、
目の前の侵入者に敵対の意志がないことをようやく納得した。フロギストンから
エレクトロンへ転換し、その際に過剰に放出される魔力についての技術を独力で
開発した彼らである。アイザックの提示したメモに一定の説得力があることを即座に
理解する。建前上は暗黒神を顕現させてその威をもって世界征服を企み、
その過程において勇者達と戦い果てることを夢見ているような酔狂人どもだ。
世界そのものが消滅すると言われては仕方がない。
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