過去ログ - ランサー「ゲイ…ボルグ!」アンリ士郎「アッー!」
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233:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/30(月) 00:51:32.15 ID:AYSPkrM30
 そして、あわてて窓を閉める。
 さらに予想外の事態がおきた。
 山男が攻撃を加えたのである。
 それとも最初から彼女の目測に狂いがあったのか? 
 窓際まで私の顔を掴みながら顔をよせ、ガラスに頬をすりつけて、息荒く私に迫った。
 あいにくガラスの収差で正確には見通せない。


 不意に顔を押さえつけていた手が離れた。


 苦しさから咳をはらい、落ち着くまで数分。
 意識がはっきりした頃には、彼の姿はなくなっていた。


 それにしても不可解な消えかただった。
 僅か目を逸らしていた一刻
 ……そこで吸い込まれるように私の視界から消滅してしまったのである。
 減速もせず、撥ね返りもせず、静かに姿を消してしまったのである。


 考えてみると、山男が突進を開始した直前、点滅し、叫び声が聞こえたような気もする。
 まんまと横取りされたのだろうか? 
 それとも山男の勘違いで……。耳を澄ませた。


 べつに騒ぎがある様子も異変もない。
 不当だ。
 山男を捕獲したのは自分であり、少なくも逃走能力を阻んだのは自分であり、保護する権利を主張する資格はあるはずだ。
 鏡の上の照明をつけ、しっかりと口紅の輪郭をととのえる。
 めったに使ったことのない朱色の紅だ。
 喪失感を紛らわすには、相応しい色に思えたのだ。
 いきなり違った思考回路に、切り換えられる。
 もしかすると、山男がびっくりして緊急避難したわけではなく
 もともと青子という名の隣人が、私から奪い去っていったのかもしれない。
 可能性は否定できない。もう一度ケースのファスナーを開け、慎重に硝子瓶を取り出した。


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