3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県)[sage saga]
2012/04/15(日) 09:47:06.10 ID:45Owf8ybo
「姫ちゃん?」
姫子「な、なに?」
「辛そうな顔してる。せっかくのこの傷心旅行が――」
姫子「傷心なんてしてないよ」
遠慮なく言葉を遮る。
勝手に傷心させないでくれないかな、と少し呆れる。
人を困らせては楽しんでいる節があり、今のように隙を突いてはからかってくる。
彼女のそうした意地悪に付き合っていると、してやったりとした顔をされるのでなぜか悔しくなる。
そうはさせまいとした今のどうでもいい攻防の一端。
他人には説明しても理解できないだろうこのやりとりは卒業してからもずっと続いている。
「……」
姫子「……」
よし、勝った。
思い通りに話が進まなかったからつまらなさそうな顔をしている。
勝ち負けを気にしている時点でわたしも子どもかな。
姫子「風子、ガム食べる?」
風子「……」
特に意味もなくキシリトール配合のペパーミントガムを差し出してみる。
これを食べると彼女はくしゃみが出るそうだけど、よく分からない。
自分で言うくらいだから本当なんだろうけど。
風子「ありがとう」
姫子「そろそろ出発だね」
風子「うん」
姫子「あ、あっちに梓がいる。船出までいてくれたんだ」
風子「ホントだ。……っ…」
姫子「行ってくるねー!」
風子「ひっくしゅん!」
梓「行ってらっしゃーい!」
小さな体で大きく手を振る彼女、中野梓。
高校時代、軽音部でギターを弾いていた一つ下の女の子。
唯の話は彼女を通して時折聞いているから、心配はしていない。
わたし達と唯が繋がっていられるのは、梓のおかげ。
風子と同じくらい梓とも付き合っていられるのは、とある人のおかげ。
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