過去ログ - 誓いは空へと、あなたへと
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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[saga]
2012/04/27(金) 19:31:52.02 ID:RKWsw5+G0
どうも、と口の中でもごもご言いながら私は近付いていった。
図書委員の人だろうか、この図書室には似合わないような明るい茶髪を後ろで二つくくりにしている。そして、真っ赤な縁のあるメガネをかけていた。髪型のせいだろうか、見た感じ同い年くらいに見えるのにそのリボンの色で二つ年上の三年生だとわかった。この学校では一年生が赤、二年生が青、三年生が緑と決められているのだ。

「どれ?」

メガネの先輩は、そう言って私にすっと手を差し出した。
おずおずと本をその手に乗せると、「はい、確かに」と慣れた手つきでICタグにセンサーをかざす。それから「うん?」というような声を漏らし、その人は私を見上げてきた。

「これ、どうしたの?」
「あ、朝に踏み切りの前で拾って……」

もしかしたら、私自身が借りていない本だったから不審に思われたのだろうか。
慌てたように弁解したから、よけい怪訝に思ったのかもしれなかった。その人はくるり、とカウンターの後ろを振り返ると、誰かの、名前を呼んだ。

――ホノカ

「本、見付かったよ」という声とともに、カウンターの奥にうずくまっていたらしい誰かがばっと立ち上がった。
ホノカ。
彼女の名前を聞いた途端、私は全ての動きを停止した。そして、彼女の真直ぐな視線を感じ、思考までもが真っ暗闇に覆われた。

――ホノカ
お姉ちゃんの名前と、同じ。


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