過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/29(日) 22:57:18.61 ID:EZndgAn8o




「関係ないわよ」

 女は溜め息をついて言った。
 喫茶店のカウンター席に、俺と彼女は並んで腰を下ろしている。

「いい? 一度しか言わないからよく聞いて。そんなことはね、関係ないの。あなたがどんな人間でもね」

 彼女ははっきりと言い切ると、煙を吐き、灰皿を煙草で叩いた。彼女の指に挟まれたパーラメントの先が静かに崩れ落ちる。
 灰を落とした吸いさしは、ぼんやりと笑うような赤色に、鈍く輝いた。その色は溶岩に似ている。

 何もかもを溶かそうと言うのだ。どんなものも無関係に溶かし尽くしてしまおうと言うのだ。
 その光は、かすかに俺の心をとらえた。それは些細な変化だったが、それでも無遠慮に俺の頭の中を荒らして回った。

 焼き尽くしてしまいたいのだ。

 俺は溜め息をついて、コーヒーに口をつけた。カウンター越しの店主が、うらぶれた風采をなんとか整えたような薄幸そうな表情で笑う。

「ところで、俺たちは何の話をしていたんでしたっけ?」

「何だったかしら?」

 女は笑わなかったが、俺は笑った。




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