過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2012/04/24(火) 23:31:32.91 ID:qSbSwrSBo

 ここにいる限り、俺はずっとひとりきりだ。孤独というものはある種の安心を伴う。
 
 闖入者がいるとすれば――おそらくは、鳥か虫か。あるいは、もっと別な何かだけだろう。

 "スズメ"はたぶん、そういう存在だ。そんなことを真剣に考える。

 俺の心を読んだわけでもないだろうが、スズメは屋上の鉄扉をくぐった瞬間、こちらに向けて声を掛けた。
 柔らかな風に長い髪が揺れる。無造作に広がった髪と風に揺れる制服。彼女の姿は何かの映画の主人公のようにすら見えた。

「どんな具合?」とスズメは笑った。

「至って快適だよ」と俺は答えた。
 
「ずっとここに居てもいいくらいだ」

「本当に?」

「……本当に」

 彼女は透き通った笑みを浮かべた。俺の言葉に反応したわけではないだろう。いつもこうだ。
 彼女と話をすることは、鏡と話すことと似ている。
 彼女から何かを言ってくることはない。こちらの話をちゃんと聞いているのかだって怪しい。




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