過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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162:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:54:35.90 ID:t9IXALoJo

 彼女は、本当は修学旅行になんて行きたくなかった。
 楽しい思い出になんてなるわけがないと、誰でも分かる。
 誰も自分を助けてくれないと気付いて、絶望的な気分になっていたせいもある。
(彼女が助けを求めなかったせいでもあるが、仮に他の人間が彼女と同じ立場になったとき、助けを求められるだろうか?)
以下略



163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:55:12.28 ID:t9IXALoJo

 彼女は考えた。どうしてわたしがこんな目に遭うのだろう? わたしはそんなにひどいことをしただろうか?
 いや、ひどいことはしたかもしれないが……それは"ここまで"だろうか。こんな罰を受けなければならないほど、悪いことだっただろうか。 

 彼女は部屋では泣かなかった。けれど、そこに居続けることは耐えられない。
以下略



164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:55:53.99 ID:t9IXALoJo



 
 おそらく俺たちは、無意識下に、彼女がされたようなことを誰かにしているに違いない。
以下略



165:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:56:19.99 ID:t9IXALoJo

 おそらく俺も、こんな言葉を並べることで、誰かを傷つけたりしている。
 そして誰かを傷つけていることに気付けない人間ほど、こんな言葉に頷くのだ。

「人間は誰かを傷つけずには生きられない」
以下略



166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:56:46.04 ID:t9IXALoJo


 

 後輩がいなくなった日から、ティアが姿を消した。
以下略



167:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:57:23.72 ID:t9IXALoJo

 玄関の扉を開ける前から、家の中からは怒鳴り声が聞こえた。
 殴りつけるような大声と、切り裂くような金切声が対照に。

 両親が帰っているのだ。
以下略



168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:57:55.67 ID:t9IXALoJo

 俺は可能な限り上手に立ち振る舞う自分の姿を想像する。
 この家と世の中にはびこる問題に立ち向かい、上手に解決する自分を想像する。

 何の慰めにもならない。笑い話にもならない。
以下略



169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:58:27.34 ID:t9IXALoJo



 屋上にはスズメがいる。彼女とこの場所だけはなにひとつ変わらない。
 俺はあくびをひとつして、フェンスに向かい合って街を眺める彼女の隣に立つ。
以下略



170:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:59:24.31 ID:t9IXALoJo

「まだこんな茶番を続けるの?」

「何の話?」

以下略



171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 13:59:52.20 ID:t9IXALoJo




 放課後、ひとりの上級生が教室にやってきて、俺の名前を呼んだ。
以下略



172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/04(金) 14:00:24.69 ID:t9IXALoJo



 教室を出るとき、クラスメイトたちがベランダで騒いでいるのが見えた。
 彼らのうちの一人が、手すりに止まっていたトンボを捉まえ、指先をはじき、その頭を吹き飛ばした。
以下略



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