過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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290:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/05/09(水) 23:15:08.46 ID:VRpUIwhYo

 後輩はしばらくこちらを振り向いていたが、俺が目で促すと鏡に手を伸ばした。彼女はことさらスムーズに、鏡に飲み込まれている。

 やがて猫は動きを止めた。トンボが静かに俺の様子を見下ろす。
 満身創痍というにはなまぬるい。だが、血が床に垂れる程度には傷ついていた。 
 
 これはいったいなんなのだろう。俺は何かを思い出しそうな気がした。
 頭の奥の方が疼く。俺は何かを思い出そうとする。カリオストロの声が聞こえた気がした。

 俺は仔猫の動きがないことを確認して、階段を昇る。鏡までの距離はおそろしく長い。
 それでもやがては辿り着き、俺はトンボを一瞥して、鏡に手を触れようとした。
 そこでトンボは、

「おまえは駄目だ」
 
 と厳めしい声をあげる。

 頭が後ろに強く引かれる。髪を引っ張られているのだ。トンボは激しい力で俺をひきずろうとしている。
 両足を踏ん張り、それに抵抗しながら、必死に鏡に向かって手を伸ばす。
 だが鏡の向こうには何もつかめるものがなく、俺は後退していく。
 意識が徐々に朦朧としてきた。なぜなのか分からないことが多すぎる。




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