過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:27:05.54 ID:JGE6sUjjo

 少し考えて、思う。"何年も話していない"? そうだっただろうか。
 俺が彼女と最後に話したのはいつのことだっけ? 何年も前だっただろうか?
 そうだという気もするし、つい昨日、話をしたようにも思える。

 俺は思い出すのを諦めた。……どうでもいい。そんなことは本当にどうでもいいことだ。
 彼女は力を入れ続けるのが億劫になったように首をかしげて頭をぐらぐらと揺すった。長い髪がくるりと揺れる。

 目を細めてその仕草を眺めながら考える。どうして彼女がこんなところにいるのだろう?
 理由がわからないという疑問以上に、戸惑いに似た抵抗を俺は感じていた。

"彼女はここにいるべきではない"と俺は強く思った。どうしてこんなところにいるのだ?
 こんな場所に――現実から切り離され、何もかもが立ち止まってしまったような場所に――彼女はいるべきではないのだ。
 ここには俺のような人間だけが訪れ、そして俺のような人間だけが長い時間を過ごしていけばいい。

 彼女はここに向いていない。彼女はこんなところに来るはずがない。
 ああ、だから、ひょっとしたら……ここにいる彼女は、俺が見ている夢のようなものなのかもしれない、と、そんなことを大真面目に思った。
 夢と現実の境もまた、俺にとっては曖昧だ。どこからが現実であり、どこからが夢なのか。そんなことはもう分からない。

 俺はいつもの通り、周囲の様子をうかがって、適当に状況に合わせることにした。どこにいたって変わりはない。
(どこにいてもやることが変わらないなら、、わざわざ自分の足でどこかを目指したりする必要があるのだろうか?)




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