過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/25(水) 19:28:30.55 ID:JGE6sUjjo

 惰性に支配された人間にとって、未来は向かうものではなく問答無用に襲い掛かってくるものだ。
 そこに自分の意思は存在しない。前には進んでおらず、また立ち止まるわけでもない。
 ただ、今まで歩いてきたのだから、まぁ、歩き続けたところでかまわないだろう、というわけだ。
 ベルトコンベアーに載せられているのと変わらない。

 立ち止まることはいつでもできるという言葉は、使い古されてはいるが、間違ってはいない。
 
 何もかもが動き続ける世界で自分だけが立ち止まることは、何もかもが立ち止まった世界で自分だけが後退することと等しい。
 
 後退はやがて自分を病ませる。その毒は静かに身体中を巡り、体の自由を奪っていく。
 この何もかもが動き続ける世界で立ち止まるということは、とりもなおさず死を選ぶ、ということだ。

 俺は立ち止まった。それは俺が死にたがりだったからじゃない。
 ただ、気付いていなかったのだ。立ち止まることがそのまま奈落に落ちることを意味するということに。
 このベルトコンベアーは後ろ向きに進んでいて、俺たちは歩き続けることでなんとか現状を維持できていたのだということに。
 立ち止まれば、奈落に落ちていくだけだということに。

 一度そこに落ちてしまえば、誰も助けることはできない。落ちてしまったら、誰も助けることはできない。
 声を掛けたりすることはできるかもしれない。怒鳴りつけたり、励ましたり、罵倒したり、嘲笑ったり。
 でも、誰も手を差し伸べることはできない。




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