過去ログ - 後輩「それじゃ、本当にこれでお別れです」
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63:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2012/04/26(木) 13:15:28.65 ID:Cz0n/SBjo

 やっとの思いで図書室にたどり着くが、様子はほとんど廊下と同じだった。
 本棚が林立する室内から、人の姿はほとんど消えていた。その光景は、なぜだか俺に世界の終わりを思わせた。
 ふと、あの手紙の内容を思い出す。

"理想と幻想の女神ガラテア様のお力により、漆黒の墓碑に封印された悪辣無比の巨人が、いま蘇りつつあるのです。"

 あの時代遅れにもほどがあるダイレクトメール。月刊ムーの全盛期でもあるまいし。 
 あんな内容の手紙を真に受けるバカがいるものだろうか?
 ましてや英雄だなんて。ばからしい。……本当に、ばからしい。
 
 カウンターの中では図書委員の子が本を読んでいた。
 この子はきっと、世界が明日終わるとしてもここで本を読み続けるに違いない。そう思わせる何かが彼女にはあった。
 
 俺はその姿に少しだけ安堵した。自分はひとりで取り残されてなんていないと分かったからだろうか。

 閑寂な図書室に、俺の足音は大きく響いたが、それでも彼女は顔をあげずにいページに視線を落としている。
 



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