135: ◆IsBQ15PVtg[saga sage]
2012/07/17(火) 04:26:25.22 ID:wjxL0IG/0
由香「……うん……」
涙声だったが――小さく返事をして、首を微かに縦に振った。
それを見届けると、窓に面する形で左の方へと横歩きの形で歩き出す。
同時に左手で1枚の窓に手を掛けて、揺さぶろうとする。
動かなければ、ゆっくりと移動して。
次の窓を掴んでは、同じことを試す。
床に穴が空いていることも考えられた。
なので、気は進まないが、横目で時折足元を確認する。
幸い、教室の端までは、床が抜け落ちたり、穴が空いている気配はない。
1歩1歩、慎重に踏み出せば、転んだり、踏み抜いたりする危険は少ないだろう。
そのようにしながら――教室の後端にかなり近づいてきた。
ここまで、開きそうな窓はない。
全部、窓枠に釘を打ち付けられたかのように、窓自体が固着していた。
残すは、最後端というところまで来た時。
美琴「くそっ……全部ダメか」
思わず舌打ちをしてしまう。
最後端にある1枚も確かめたが――結果は同じだった。
全て確かめたが、窓から外に出るのは不可能ということになる。
となると、次は廊下に面した引き戸。
そこまで移動するのには、この部屋を横切る形になる。
当然、この室内の様子を目にしないようにする。
そのためには、後ろの壁に向きながら移動するしかない。
前が見れないのだから、床に穴が空いていないかを確かめる必要がある。
あわよくば、それもダメだった時のことも考え――導体になるものも探す必要があった。
さっと確認しようと、横目で引き戸の方に目を向けた。
その時――ある光景が、美琴の目に入った。
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