過去ログ - 許嫁「末永く宜しくお願い致します!」その5
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332: ◆vF1GrLS8msUg[saga]
2012/07/01(日) 23:22:20.65 ID:ZjsrLCNAO

貴重なお父様のお休みなのに、わざわざ私のお父さんのお墓参りに付き合う、とお父様が言い出した。
恩人に2年にも渡り不義理をするわけにはいかぬ、と。

普段お忙しいのだからたまの休日は身体を休めて欲しい、と思ったけれど、これも気分転換じゃ、と笑いながら言って下さったからありがたく従うことにした。

お父さんのお墓は、見晴らしの良い丘の上にあった。
周りのお墓から少し離れて、丘からの景色を一望出来るそのお墓はまだ新しく、質素ながらもお父さんへの弔いの気持ちが伝わってくるような、そんなお墓だった。


 『儂はお前の父が生きている間に恩を返せなくての、墓を用意する事しか出来なんだ』


少し残念そうな顔をしてお父様はそう呟いた。

育ててもらっているだけでも充分すぎるくらいなのに。
でも、お父さんへのそんな気持ちがとても嬉しかったのを覚えている。

元々丁寧に管理されているらしいそのお墓にお父さんの好きだったお酒をお供えして、皆で手を合わせる。
目を閉じて、お父さんと別れてからの2年を報告した。

お父様に優しく、大切に育てて貰っていること。
メイドという姉が出来た事。
学校にいけるよう、しっかり勉強していること。

そして、最後に男くんの事を謝った。


 『弟を守ってあげてね?』


お父さんの言葉が脳裏をよぎる。

ごめんなさい、私は男くんを守ってあげられませんでした。

気付かず涙を零していた私の頬を、メイドがハンカチで優しく拭ってくれた。




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