過去ログ - 律「うぉっちめん!」
1- 20
39:律「うぉっちめん!」[sage saga]
2012/05/22(火) 23:56:28.45 ID:hxj4NxIg0
 
純「え……? そりゃあ、今時はみんなパソコンですけど……」

律「ふうん。じゃあ、最悪でも左右一本ずつ人差し指が使えりゃ大丈夫か」

純「はい?」

コーヒーに伸ばされた純の右手。
それを素早く掴んだ律は、少しの間も置かず、小指を関節が曲がる方向とは逆に折り曲げた。
バキッと不快な音が部屋に響く。

純「ぎゃああああああああ!!」

律「右の小指を折らせてもらった。唯について何か知らないか?」

純「あ…… ああ……」

震えてうずくまる純。
能面のように無表情な律。
律は純の左腕を無理矢理捩じ上げると、先程と同じく小指を逆関節に折り曲げた。
またも不快な鈍い音が鳴る。

純「いやぁあああああああ!!」

律「左の小指も折った。唯について何か知ってたら教えてくれ」

純「ひっ、ひぃいい…… ああぁ……」

律「今度は右の薬指だ」

純「言います! 言いますから! もう、やめてぇ!」

激痛に身を捩じらせ、涙と鼻水とよだれで顔を汚しながら、純は懸命に言葉を吐き出した。
律は純の横にしゃがみ込むと、彼女の髪を掴み、無理矢理顔を上げさせる。

律「さあ、言え」

純「ううっ…… こ、殺される少し前に、唯さんがこの仕事場に来たんです。本を出したいから、
  きょ、協力してほしいって……」

律「本? どんな本だよ」

純「じ、自伝です。自伝を出版したい、と言ってました」

律「そうか。右の薬指を折られたいんだな」

純「いやぁあああ! どうして!? 正直に言ったじゃないですか!」

律「嘘を言ったからだ。唯のパソコンにはそれらしきデータは無かったし、原稿用紙もメモの
  類すらも見つからなかった。第一、自分を叩いてたライターに協力を頼む奴なんて、
  どこの世界にいるんだよ」

純「嘘じゃありません! 本当です! 本当なんです! 唯さんがここに来て、自伝の出版を
  手伝ってくれって言ったんです! それしか知りません! だからもう、痛い事はしないで!」

律「……自伝の話は、その後どうなったんだ」

純「ゆ、唯さんがここに来たのは殺される四日前で、そ、それから何の連絡も無いまま、
  その……」

律「10月11日を迎えたって訳か…… 他には? 本当にそれ以外、何も知らないのか?」

純「ですから、本当にそれしか知らな―― あ……」

律「何だよ」

純「い、いえ、そんなに重要な事じゃ……」

律「言え。重要か、そうじゃないかは私が判断する」

純「は、はい…… ええと、自伝を出す理由を教えてくれなかったんです。私が理由を聞いたら、
  急に泣き出して…… あとは、何を言っても泣いてばかりで…… 何かに怯えるように……
  ただ、『ごめんなさい』『許して』っていう言葉だけは聞き取れました」

律「……」

髪の毛を掴む力が消え、純の身体が解放された。
立ち上がった律は、うずくまる純を無言で見下ろしていたが、やがて出口のドアへ向かった。

律「また来るからな。他に何か思い出したり、わかったりした事があったら、ここに電話しろ」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
291Res/262.73 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice