過去ログ - 律「うぉっちめん!」
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55:律「うぉっちめん!」[sage saga]
2012/05/28(月) 14:46:26.06 ID:yc3eS1Xy0
冷たさにも、喪失感にも、悲しみにも、罪悪感にも、驚きにも、後悔にも、怖さにも、
何にも耐えられなくなった。
両方の掌の下で「唯……」ってうめいて、眼を閉じたのは田井中律だったけど……



  ――その眼を開いた時には、もう“私”になっていた」

憂「ううっ…… お姉ちゃん…… ぐうぅ、お姉ちゃん……」グスッグスッ

話の半ばまでも達しないうちに、憂は顔を伏せて嗚咽を漏らしていた。
向かい側の律は表情ひとつ変えていない。
この奇異な光景に、店員も数少ない周囲の客も、不審な視線を送っている。

律「警察が言うストーカー殺人なんて嘘っぱちさ。唯を殺した存在はもっと他の理由を持った
  何かだ。そうじゃなきゃ、あんな殺し方は出来やしない」

憂「ううっ…… ひぐっ……」グスッグスッ

律「憂ちゃんが聞きたい事はすべて話した。さあ、次は私の番だ」

しかし、憂はいまだに泣きじゃくり、顔を上げようとしない。
このままでは埒が明かない。指を折ってでも話をさせたいところだが、流石にそれははばかられた。
相手は死んだ唯の妹なのだ。
そこから三十分程、律は無言で待ち続けた。獲物を待ち続ける蛇の執念に近い。
ようやく落ち着きを取り戻したのか、しゃくり上げる回数が少なくなり、顔が徐々に上がり始める。

憂「ぐすっ…… ご、ごめんなさい。少し、落ち着いてきましたから……」

律「そうか。ありがたいね」

憂「それで、律さんは何が聞きたいんですか……」

律「全部だよ。唯についての何もかもだ」

憂「全部って言われても…… 何から話していいのか……」

律「じゃあ、まずは健康状態や精神状態からだ。あいつ、電話やメールじゃ、詳しく言いたがら
  なかったんだ」

憂は息をひとつ吸い、吐くと、頭の中で整理するように、ゆっくりと話し出した。

憂「お姉ちゃんは、アルコール依存症だったんです……」

律「アル中……?」

憂「はい。お姉ちゃん、元々お酒が大好きなのは律さんも知ってますよね。だけど、音楽の
  お仕事が減って、タレント活動がメインになった辺りから、飲む量も回数もすごい勢いで
  増えて……」

憂「無理矢理お医者さんまで連れて行って、お酒をやめるようにも言ってたんですけど、
  隠れて飲んだり、外出先で飲んだりで……」

再び憂の瞳が潤み始めた。

憂「お姉ちゃん、どんどん様子がおかしく…… 全然眠れなくなって、お部屋で塞ぎ込んで……
  落ち込んでいたら急に泣き出したり…… 助けてあげたいのに、どうしたらいいのかも……
  ぐすっ……」

律「どうして教えてくれなかったんだ。私や梓に」

憂「みんなには絶対言わないでくれって、お姉ちゃんが…… 言ったら死んでやるって……
  私、怖くて……」

律「……唯はずっと悩んでいた。放課後ティータイムの主導権を澪に奪われて以来な。
  バンドの脱退、ソロ活動の商業的失敗、バラエティ中心のタレント活動、事務所移籍、
  二度目のソロ活動失敗、仕事そのものの激減。これで悩まない奴がいたら、そいつは
  どうかしてる。唯が酒に逃げたのも、心を病んだのも、当たり前かもな」

憂「ごめんなさい…… 私がちゃんとお姉ちゃんを支えてあげられれば……」

律「そんな事を言うなら、私だってそうだよ。無理矢理にでも押しかけて行って、あいつの
  力になれば良かったんだ。でも、それをしなかった……」

憂「……」

律「他に何か、唯の行動や態度におかしなとこは無かったか? 例えば、誰かに脅されていた
  様子とか、危険な事に巻き込まれていそうな雰囲気とか」


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